研究課題/領域番号 |
16K01142
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
平野 美保 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 准教授 (40631411)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コミュニケーション能力 / 育成内容 / 実社会 |
研究実績の概要 |
本研究は、大学生に対して、実社会で役立つコミュニケーション能力育成のための学修プログラムをデザインし、実施の上、学修プログラムを評価することを目的としている。 2016年度は、大学の正課で実施する学修プログラムのデザインに向けて必要項目を抽出するために、大学生の就職活動での支援における課題などを概観し、大学生の正課において効果的な支援について示唆を得てきた。その結果、コミュニケーションにおける内容の充実、日本語の基礎能力の向上、プレゼンテーションの方略の理解、苦手意識や緊張感などの克服、他者とのかかわりに基づいた思考の言語化、ビジネスマナーの知識と習慣化の支援が必要であることが推察された。また、正課において授業者が留意することは、学習者に対する動機づけおよびモチベーションの維持、学習者間の交流の充実、授業と実生活とを結び付けた継続的な支援が必要であることが考えられた。なお、前述の成果については、職業・キャリア教育学研究会例会において報告し、それを加筆・修正し、「大学生の就職活動およびその支援からみたコミュニケーション能力育成に向けての考察」として、『言語文化研究』にまとめた。また、オランダでの教育実践(ダルトンスクールやフレネ教育)の視察によって、本学修プログラムのデザインに向けて多くの示唆を得ることができた。 今後は、前述の知見や、関連の理論等を踏まえて、学修プログラムを充実させ、コミュニケーション能力育成に関する複数の授業によって実施の上、順次、評価をしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学修プログラムのデザインについてはおおかた目途がついたが、学修プログラムや研究方法の詳細について検討していく必要があり、実施を見合わせていたため。 具体的には、大学生から実社会へのスムーズな移行のために、コミュニケーション能力に関わる大学生が習得しておくべきことについて、学修プログラムに反映させていくため、大学生の就職活動に着目し、育成内容や、指導者が留意していくべきことについて検討してきた。また、海外の教育実践の視察によって、育成方法に関して多くの示唆を得ることができた。しかし、2016年度は、学修プログラムの詳細の決定にまで至らなかった。また、調査方法についても検討が必要と考えられた。そのため学修プログラムの実施、およびデータ収集まで進めることができなかったことから、当初の予定より、やや遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
動機づけ、環境、アクティブラーニングなどの理論や、これまで得てきた「音声を中心にしたコミュニケーション能力育成」や、「アクティブラーニングによるコミュニケーションスキルの育成」などの成果等から得てきた知見を反映させた学修プログラムをデザインする。その上で、本学の倫理審査を受け、承認後の2017度の後半から、順次、学修プログラムを実施し、学習者の認知、感情、行動、方法に関する認識等を調査する予定である。 なお、学習者の認知、感情、行動、方法等を調査するための研究方法について、量的な分析を検討してきたが、より妥当な方法にするため、調査方法の変更も含めて連携研究者と詳細を検討していく予定である。 さらに、デザインした学修プログラムに、より適切な機材を使用して実践していくことが必要であるため、機材を吟味し、購入していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
教育実践の実施を2017度からすることから、2016年度の機材の購入を見合わせたため。 具体的には、iPad mini、卓上マイクスタンド、液晶モニター等を購入する予定だが、デザインした学修プログラムに、より適合した機材を購入するため、2016年度の購入を見合わせた。
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次年度使用額の使用計画 |
前述の「理由」に記した通り、学修プログラムに必要な機材や、研究書などを購入し、かつ国内外の教育実践に関する情報を収集するため、国内外の学会等に参加する予定である。 具体的には、機材の購入や、コミュニケーション、アクティブラーニング、キャリア教育など関連の研究書等を購入する予定である。また、2017年度は、日本コミュニケーション学会、日本教育工学会、日本産業教育学会、Association for Business Communicationの各大会や、職業・キャリア教育研究会等に参加する予定である。
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