研究課題/領域番号 |
16K01150
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研究機関 | 釧路工業高等専門学校 |
研究代表者 |
野口 孝文 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (20141856)
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研究分担者 |
千田 和範 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (30342562)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 学習環境 / サイバーフィジカルシステム / 試行錯誤 / プログラミング / 協調学習 |
研究実績の概要 |
アラン・ケイがコンピュータ上のツールやデータを自由に組み合わせたり編集したりするダイナブックのコンセプトを提唱してから40 年になるが,未だ実現できていない.さらに,我々の周りにはコンピュータが組み込まれた様々な機器があるが,それらをコンピュータ上のツールと自由に組み合わせることもできていない.コンピュータ上の教材や実世界の機器を自由に組み合わせ編集が可能になれば,これまでにない自由度の高い学習環境が実現できると考えられる.本研究では,実世界にある様々な機器をネットワークで連携しコンピュータ上のオブジェクトと対応できるようにする.学習者自身が試行錯誤しながらコンピュータ上でシステムを組み上げることによって,学習者が思考した仮説を試行錯誤しながら検証することができるサイバーフィジカルな学習環境を目指している. これまでに実験で用いられている実験装置のIoT化とこれを利用したサイバーフィジカルな学習環境を実現した.実現に当たっては,マルチメータとラズベリーパイ,RFID,我々が開発してきたIntelligentPadシステムを用い自由に装置やアプリケーションを組み合わせることができるシステムを構築した.今後,個別学習と協調学習を組み合わせることができる学習支援システムとして,LEGOシステムを用い,複数のLEGOシステム同士を統合するIoTシステムを開発することによって,IoT機器同士を実世界で組み合わせることができると同時にサイバー空間でそれぞれのIoT機器を制御するプログラム同士の連携も実現する.また,IoT化によって可能になる実験環境の有用性については,学会の研究会等で発表を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,初年度に汎用的な計測装置であるデジタルマルチメータや電源装置のIoT化を実現し,電気工学科で行う実験の中で利用できるシステムを実現した.2年目には,電気工学科で行っているメカトロニクスの実験で用いているLEGOマインドストームの装置についてIoT化も実現している.本装置をコントロールするサイバースペース上のプログラムとIoT化された実世界上のコントロ-ラを自由に組み合わせることでこれまでにない自由度の高いシステムを目指す事が可能になった.また,本システムの実現によって個別学習と協調学習を組み合わせた新しい実験実習の環境について提案できるようになった.
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今後の研究の推進方策 |
前年度では,計測装置のIoT化とそれを組み合わせた実験方法の実現を目指していたが,実世界においても試行錯誤が容易なLEGOシステムをIoT化することでより自由度の高い学修支援システムができる可能性が広がった.当初の計画では,学生実験装置をIoT化することで自由度の高い協調学習の支援ができることを目指したが,30年度は個別学習と協調学習の両方を支援するというシステムを提案する 本研究では,個別学習と協調学習を組み合わせた,両者の利点を合わせ持った協調学習支援環境を提案する.この特徴は,協調学習における課題を複数の小課題に分けて,学生それぞれが異なる1つの小課題に取り組んだ後その結果を統合することで,それぞれの学生が統合とディスカッションに必要な知識を予め学習することにある.本研究では学習支援システムとして,複数のLEGOシステム同士を統合するIoTシステムを開発する. 従来の開発システムを用いたLEGOシステムは,LEGOブロック同士の連携は容易であっても,コントローラを1台と想定しているため,複数のコンポーネントに組み込まれたコントローラ同士をダイナミックに統合することが難しかった.これを可能にするには,コントローラ間で他のコントローラの状態をプログラムから利用可能にする必要がある.そこで本研究では,IoT技術と我々がこれまでプログラミング教育に用いてきた技術を統合することで,コントローラにIoT機能を付加しコントローラ同士の連携をダイナミックに行えるようにする.さらに本研究では,IoT機器(コントローラ)の選択もダイナミックに行えるようにすることで,IoT機器同士を実世界で組み合わせることができると同時にサイバー空間でそれぞれのIoT機器を制御するプログラム同士の連携も実現する. また今後は,システムの実現と外部への発表を積極的に行う予定である.
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