研究課題/領域番号 |
16K01167
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
日野川 靜枝 拓殖大学, 付置研究所, 研究員 (90134832)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 1930年代カリフォルニア大学 / 研究契約 / 軍産学複合体制の起源 / 科学の軍事化 |
研究実績の概要 |
今年度もコロナ禍によって、カリフォルニア大学バンクロフト図書館を訪問することができませんでした。そのために、すでに収集した資料を分析しています。しかし、作業中には新たな疑問も生まれますが、残念ながらそれに関連する資料調査が不可能となっています。そこで、執筆依頼のあった原稿を引き受けて、次のような発表をいたしました。「今、『学問の自由』・『大学の自治』を考える」(『ピース・アルマナック2021-核兵器と戦争のない地球へ』、2021年5月30日発行、緑風出版)。また日本科学史学会の学会誌『科学史研究』2022年4月号には、「20世紀の負の遺産、核技術の廃絶を考えるための一冊ー若尾祐司、木戸衛一編『核と放射線の現代史ー開発・被ばく・抵抗』」を発表しています。さらに、『イル・サジアトーレ』No.49,2022年には、論文「1930年代カリフォルニア大学の変貌ー学外の研究資金の呼込みから学内の特許制度の変更へー」を投稿中です。 今後はカリフォルニア大学のサイクロトロン開発と関連して登場する、放射線による被ばく影響に関する研究分野、戦時中に「保健物理学」となる研究分野の歴史を調べて、科学の軍事化の過程をこの側面からも調べたいと考えています。その準備過程として、現在すでに進行中の翻訳と出版をめざすチームに参加してKate Brown著『Manual for Survival』を読み始めています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2018年以降現在までの間で、家族二人を見送りました。また、2020年度以降はコロナ禍によって資料収集の作業ができずに、現在に至っています。当初に予定していました研究計画の遂行は、とても困難な状態となっています。
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今後の研究の推進方策 |
本年度こそ、カリフォルニア大学バンクロフト図書館を訪問して、1930年代の理事会議事録などを調査する予定でいます。日本の大学の現状が、ますます1930年代のカリフォルニア大学と類似してきています。それゆえに、このまま進んで日本の大学が将来どのような事態に直面することになるのかを、1930年代のカリフォルニア大学の例から示したいと考えています。これはまさに、歴史研究の使命です。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために、カリフォルニア大学バンクロフト図書館を訪問できなかったのが、理由です。新年度では、ぜひバンクロフト図書館で資料調査を実現する予定です。
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