本研究の意義は、定期接種法2013年改正によってHPVワクチン接種がいかに定期接種のA類に組み込まれたのを明らかにしたことである。HPVワクチンが定期接種A類に指定されたのは、子宮頸がん予防(その原因であるHPV感染予防)という考え方も当然あっただろうけれども、当該ワクチン接種によって健康被害が起こった場合の「補償」のためであった。つまり、いかなる疾病を定期接種の対象にするのかというワクチン政策は、「科学的正しさ」ではなく(科学的正しさがまったく無視されるわけではなく、「前提」となる)、それ以上に健康被害に対する補償(救済)という「政治的正しさ」によって、形づくられていることが明らかになった。
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