研究課題/領域番号 |
16K01195
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
尾久土 正己 和歌山大学, 観光学部, 教授 (90362855)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 博物館情報学 / スポーツ映像 |
研究実績の概要 |
本研究はオリンピックに代表されるスポーツイベントを、その瞬間、ゲームの中心でプレイしている選手だけを記録する一般的な映像ではなく、フィールド内にいるすべての選手、審判、フィールド外の控え選手やコーチなど関係者、観覧席に集まった観衆の応援や服装などの風俗、さらには有形文化財としてのスタジアムなど、ゲームが行われている空間にあるすべてをフレームレスの全方位超高解像度の映像で記録するシステムを開発し、その技術的課題を解決するものである。研究に着手する前に我々が所有していた撮影システムは4Kカメラを用いたものであるが、これを使って例えば、バスケットボールのゲームを撮影した場合、すべての選手の動きを記録することができたが、ゲームを観戦する上で重要な選手のゼッケンナンバーを解読できるか、できないかギリギリの解像度であった。そこで、4Kカメラを5台使って解像度を高める実験を行ったが、使用した安価なカメラの光学系の解像度が足りず、画素数では十分な解像度を持っているにも拘わらず、ゼッケンナンバーをシャープに記録することに失敗した。そこで、カメラメーカーの協力を得て、開発中の単眼で解像度の高い8Kやそれ以上の解像度のカメラを借り、我々がこれまで使っていたシステムの魚眼レンズを装着することで、画素数に応じた高精細な映像を撮影することに成功した。しかし、これらのカメラはビデオフレームの動画の撮影ができず、今後のメーカーの開発を待たねばいけない。一方で、球技のような平面上での競技だけでなく、立体的な動きのある映像サンプルとして水中映像や鉄道博物館での撮影、投影を行い、それらのノウハウを用いて、壁を登るクライミングの競技の撮影も行い、展示会や研究会で映像を紹介するなどし、オリンピック組織委員会などの関係者の意見を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画であった複数のカメラを使って解像度を高める方法では、画像の画素数はカメラの台数に合わせて高くすることができたが、使用する安価なカメラの光学系の性能のために、実際の解像度を高めることに失敗した。そこで、単眼カメラで高い解像度の映像を得るためにカメラメーカーに協力を求め、開発中のカメラを借りて実験することで、目標とする解像度の映像の撮影に成功した。このように当初の計画通りには進まなかったものの、別の方法で目標を達成できたので(2)の「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
撮影するカメラシステムを単眼システムに決定したことから、今後は実際のスポーツ競技の撮影を繰り返すことでカメラ位置や角度などの最適解を求めたり、高解像度のドームを使っての投影実験と、それらの評価実験を行う。また、ヘッドマウントディスプレイなどを使ったドームを使わない映像表現の実験を行い、それらの差異を評価し、博物館の展示環境に合った映像展示の方法を考察する。
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