研究課題/領域番号 |
16K01197
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
中川 麻子 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (60468329)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 女子教育 / 手芸 / データベース / デジタルアーカイブ / 刺繍 |
研究実績の概要 |
2年目となる今年度は、データベース構築のための基礎を重点的に行った。手芸データについては、東京家政大学、女子美術大学、共立女子大学の資料について、エクセルデータの打ち込みがほぼ終了した。インタビュー調査については、大妻女子大学の卒業生を中心に行い、昭和時代後期~平成10年代にかけて、被服学科で行われていた手芸教育について聞き取り調査を行い、当時の卒業制作や課題の内容をまとめた。 共立女子大学では、同学博物館所蔵の手芸作品のうち、未調査だったものについて追加調査を行った。この結果、同学では完成度の高い刺繍画、草履や半襟などの服飾小物類、箱せこなどの袋物の作品が多数所蔵されており、また同じモチーフの作品が繰り返し作成されていたことなどが明らかとなった。また和洋女子大学の博物館では、学生が共同制作をした大型の刺繍作品が多数所蔵されていることがわかり、平成30年度に追加で調査を実施する予定である。 データベース構築に向けた基礎調査として、博物館の所蔵品データベース作成に携わる専門家7名と意見交換を行なった。専門家の先生方からは、使いやすいデータベースの留意点を伺い、この結果を受けておおよその画面レイアウトと項目を設定することができた。また2018年1月27日に文化学園大学において開催された文化庁アーカイブ中核拠点形成モデル事業報告「日本のデザイン資源を考える」第2部のディスカッションに参加し、デザインのデジタルアーカイブの在り方について討論した。このシンポジウムでは、手芸を含む服飾分野の作品の特性から、デジタルアーカイブが非常に有効であること、また専門家以外にも使いやすいデータベースデザインが必要であること等、本研究に有用な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベース化に向けた作業が進み、試験的なデータベース運営の具体的な日程も定まった。データベースのデザインも決まり、現在作成中である。調査で見つかった新たな追加分の資料についてはこれから入力する必要があるが、最終年度には間に合う予定である。作成予定の各大学のカリキュラム年表についても現在作成している。併せて関連書籍情報についてもデータベースにどのように反映させていくか早急に検討する予定である。研究計画はおおむね計画通りに進展しており、このことから平成30年度のデータベース試用および学生によるアンケート調査が可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在行なっている資料の入力は6月ごろには終了する予定である。また足りない資料、インタビューの内容、年表、書籍情報などについては、7月頃までにデータベースへの反映方法を決定する。和洋女子大学の追加資料については、7月末ごろに調査をする予定である。 データベースは専門業者に依頼し8月頃から実際のデータベース作成を開始する。10月頃を目安に完成を目指す。資料の利用については各所蔵館に改めて使用許諾を取り、可能な資料のみを閲覧可能とする。完成したデータベースについては、本学の学生を対象に、データベースを試用してもらい、使用感等についてアンケートを実施する。また各所蔵館の担当者にも試用していただき、手芸のデータベースについての意見を広くいただくことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費については書籍購入に充てた。「人件費」および「旅費」は、他大学博物館館の協力によってアルバイト雇用が不要となり余剰したが、次年度の追加調査、データベース作成・打ち込みに当てる。「その他」の予算は、最終年度に外部データベースの運営に向けて必要な維持費として必要であると判断したため持ち越した。以上のことから、次年度の使用額が生じた。
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