研究課題/領域番号 |
16K01205
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研究機関 | 公益財団法人日本モンキーセンター |
研究代表者 |
赤見 理恵 公益財団法人日本モンキーセンター, その他部局等, キュレーター (50414107)
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研究分担者 |
高野 智 公益財団法人日本モンキーセンター, その他部局等, 主任学芸員 (90370197)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 動物園教育 / 動物行動観察 / プロトコル分析 / 科学教育 / 博物館教育学 / 教育学 / 霊長類 |
研究実績の概要 |
多様な博物館の中でも動物園は特に利用者が多い施設であり、環境教育や持続的な開発のための教育など、その教育的側面へ寄せられる期待は大きい。しかし生きた動物を扱うことによる独自性や研究者が育ちにくい土壌から、動物園教育は研究としての深まりが十分でない分野である。本研究では動物園の特性を活かした「動物行動観察」を用いた参加型教育プログラム(以下、行動観察プログラム)を開発し、プロトコル分析などにより学習プロセスを分析するとともに、野生霊長類を観察できるフィールドとの比較をおこない、得られた知見を動物園が開発する各種教育プログラムや展示計画に活かすことを目的とした。 平成29年度、動物園における行動観察プログラムにかかわる調査は大きく進展した。継続実施している1大学に加え、2大学が類似のプログラムを利用することとなり、合計3大学に対して行動観察プログラムを開発、実施することができた。うち2大学では事後のインタビュー調査をおこない、学習プロセスについて詳細に分析した。 また野生霊長類を観察できるフィールドとの比較研究にかかわる調査を開始した。2017年11月18日~23日にボルネオ島マレーシア領サバ州スカウ村のテングザル等の調査地を、2017年12月8日~10日に宮崎県幸島の野生ニホンザル調査地を訪問し、エコツアーの現状や見学者の状況の視察、現地の研究者や教育関係者へのヒアリングをおこなった。 これまでの成果を関係する学会や研究会(日本展示学会、日本霊長類学会、京都大学霊長類学ワイルドライフサイエンスリーディング大学院シンポジウム、日本動物園水族館教育研究会、アフリカ・アジアに生きる大型類人猿を支援する集い、Asian Zoo Educator Conference、ヒトと動物の関係学会月例会など)にて発表し情報交換をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に交付決定通知を受けたのが2017年11月であったため、調査期間中に新たに行動観察プログラムを希望する大学がなく、調査実施が遅れた。しかし平成29年度に3大学の実践があり、調査の遅れを取り戻すことができた。一般来園者を対象とした会話調査の実施は遅れている。野生霊長類を観察できるフィールドとの比較研究は予定より進展している。以上から、各調査により進捗の前後はあるものの、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度、動物園における行動観察プログラムにかかわる調査については、平成29年度に実施した3大学が平成30年度もプログラム実施を希望しているため、ひきつづき学習プロセスの分析や追跡調査に取り組む予定である。 野生霊長類を観察できるフィールドとの比較研究については、平成29年度に実施したボルネオ島のフィールドでの調査をさらに深め、エコツアー参加者、研究者や教育関係者へ、より体系的なヒアリングをおこなう予定である。 成果発表にも力を入れ、International Zoo Educators' Association Conference、日本霊長類学会、日本動物園水族館教育研究会などで発表予定である。また一般に対しても、Webページなどを通じて公開、普及をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査補助を依頼する適切な人材が見つからなかったこと、学生への謝礼を図書券として物品費に計上したこと、一般来園者を対象とした調査がおこなえなかったことなどから、人件費・謝金の使用額が大幅に少なくなった。次年度は海外渡航、一般来園者を対象とした調査、研究成果の公開のためのWebページ制作も予定している。これらに次年度使用額を活用していきたい。
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