研究課題/領域番号 |
16K01219
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
小玉 芳敬 鳥取大学, 地域学部, 教授 (50263455)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | メガリップル / 鳥取砂丘 / Great Sand Dunes / 粗粒粒子 / 下に凸の形態 / 粒径の混合効果 / 砂面の低下区間 / 風成微地形 |
研究実績の概要 |
鳥取砂丘とアメリカ合衆国コロラド州のGreat Sand Dunes において,メガリップルの形態特性を比較し,風洞実験においてメガリップルの形成条件を探る予備実験を実施した。 その結果,2013年~2015年まで毎年春先に見られた鳥取砂丘のメガリップルは,2016年度観察されなかった。これは隣接する火山灰露出地の拡大により,火山灰団粒子の砂地への供給量が増えすぎたためであることを示唆した。そこで,粗粒粒子の多寡を制御した一連の予備風洞実験を実施し,メガリップルの形成に適した粗粒粒子の量を把握した。つまり砂面に分布する粗粒粒子が少なすぎると,粗粒粒子が砂に埋もれ,その効果を発揮せずメガリップルの形成には至らなかった。逆に粗粒粒子の量が多すぎると,粗粒粒子が全面を覆い,砂移動が不活発となり,メガリップルが形成されなかった。粗粒粒子量が適度にあったとき,粒径の混合効果により粗粒粒子が活発に動き,jamを形成してそれらが合体を続け,粗粒粒子の通過区間の砂面が侵食されて下に凸型のメガリップルへと成長した。 Great Sand Dunesにおいては,3測線でメガリップルの断面形態を観察し,径1mm前後の粗い粒子が集積した箇所が峰となること,下に凸の形態を有することを確認した。それらの断面形態を巻き尺とコンベックスで計測し,波長と波高の関係を明らかにした。またメガリップルの現地動態観測に取り組んでいる研究者の情報を入手した。今後コンタクトを取り,風洞実験結果との比較を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2013年~2015年まで毎年春先に鳥取砂丘で観察されたメガリップルの断面形態を2016年度に計測しようと計画していたが,2016年度にはメガリップルが出現しなかった。そのため鳥取砂丘におけるメガリップルの断面計測は断念した。しかし,2016年にメガリップルが出現しなかった理由を考えた結果,粗粒粒子の供給過多が原因であると推察した。つまりメガリップルの形成には,粗粒粒子の多寡が鍵を握る可能性が高い。そこで風洞実験でこの点に焦点をあてた予備実験を実施した。その結果,適度の粗粒粒子量の時,メガリップルを模擬できた。 Great Sand Dunesの現地調査は他の経費で実施出来た。メガリップルの形成域をいくつも確認でき,粗粒粒子との関係を観察した。また断面形態の計測も実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
予備実験で模擬できたメガリップルの動態特性や形成過程を,本実験で計測・記録し,その解析を進める。Great Sand Dunes でメガリップルの動態観測を実施している研究者とコンタクトを取り,実験結果との比較検討を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
アメリカ合衆国の砂丘地への調査旅費が他の研究費より捻出可能となったため,本年度の旅費が大幅に減額した。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度reptationとsaltation粒子の移動解析の本実験を実施して,その成果をまとめ,2018年度にreptationの提唱者であるProf Rob Anderson氏(コロラド州立大学)をたずねる計画である。Anderson氏とは,Great Sand Dunes に観察されるメガリップルについても討論する予定である。2017年度は可能であればスミソニアン博物館の学芸員であり,メガリップルの動態観測を実施している研究者に会い討論できればと考えている。
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