研究課題
径4mmのポリプロピレン粒子と0.3mmの砂を用いた風洞実験において,波長1.5mに及ぶメガリップルを模擬し,メガリップルの形成条件・成長過程・移動特性を明らかにした。メガリップルでは混合粒径砂礫の移動特性を反映して粗粒子が適度な間隔で渋滞箇所を作ることが鍵を握る。本風洞実験装置では,1m長あたり45gのポリプロピレン粒子の散布がメガリップルの形成に最適であった。最終年度には,この最適条件下で本実験を実施し,風速のモニタリング(風速17m/s前後)と共に,側面と平面の写真撮影を実施した。無給砂の実験ではメガリップルは,短時間(20分程)で形成された。しかし給砂量を増すとメガリップルの形成は風洞の一部に限られたり,波長が充分に成長しなかったりした。このことは野外で恒常的にメガリップルが観察されるアメリカ合衆国Great Sand Dunesにおけるメガリップルの断面形の縦断変化を理解するのに役立った。つまり50m以上にわたり続くメガリップル群を例に取ると,下に凸の縦断形態はいずれも共通し,観察区間の両端では波長2m,深さ5-10 cmと小規模であったが,中央部にかけて波長3m超,深さ20cmと次第に規模を増していた。このことは供給される飛砂量が少なく,砂面が低下する場所で粗粒粒子の共存によりメガリップルが発達することを意味する。砂面が低下するとそこから新たに飛砂が生まれるため,風下側では次第に砂面低下速度が遅くなり,それに応じて浅く波長の短いメガリップルへと変化すると理解された。鳥取砂丘においては,火山灰露出地の周囲に2013-2015年のみメガリップルが出現したが,砂面低下が続き,粗粒子の供給が増え過ぎるとメガリップルが見られなくなった。国内各地の砂丘においても,メガリップルは観察されなかった。適度な量の径2-4mm程の粗粒粒子の存在がメガリップル出現に鍵を握る。
すべて 2021
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Sand Dunes of the Northern Hemisphere: Distribution, Formation, Migration and Management
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