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2017 年度 実施状況報告書

陸海を統合した詳細ステレオ画像による南西諸島とその周辺海域の変動地形学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K01221
研究機関広島大学

研究代表者

後藤 秀昭  広島大学, 文学研究科, 准教授 (40323183)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード活断層 / 変動地形 / 海底地形 / 海成段丘 / 数値標高モデル / 地形アナグリフ / GIS / 南西諸島
研究実績の概要

平成29年度は、まず,1970年代に撮影された空中写真を素材にしてSfM-MVSを用いて作成する地形モデルに関し,GCPの設定方法の違いによって生成される地形の精度の違いがどの程度あるかについて検証を行った。国土基本図を用いてGCPを設定した地形モデルとGNSSを用いて測位した位置情報をもとにしたGCPによる地形モデルを比較し,大きな違いがないことを確認した。
次に,与論島において1970年代から大きく変化していない地点を抽出し,それらについて現地でGNSSによる測位を行った。また,その情報をもとに,SfM-MVSを用いて地形モデルを生成し,3mメッシュのDSMとした。
産業技術総合研究所および海上保安庁,海洋研究開発機構で測深された海底地形データについて提供を受けたり,収集を行った。不足している地域については日本水路協会の等深線データを後藤(2015)の方法で加工し,与論島周辺海域の統合したDEMとした。
これらの陸海の地形データを用いて,海陸を統合した地形図および地形アナグリフを作成した。これを変動地形学的に判読し,与論島の変位および変形様式を明らかにした。また,海底地形の変動地形を読みとるとともに,海底および陸上の変動地形の関連について検討した。
一方,石垣島において,国土地理院のDEMおよび日本水路協会の等深線データを用いて,海陸を統合した地形図およびアナグリフを作成した。海成段丘の地形分類と旧汀線高度の測定によって,島の南西部が最も隆起速度が大きく,西に傾動していること,その地殻変動の要因として島の南西近海に分布する海底活断層が関わっている可能性が高いことを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1970年代に撮影された空中写真とGNSS測位による地理情報を用いてSfM-MVSによって精度良く地形モデルが生成できるようになった。
与論島周辺を対象に,陸上地形についてはDSMの作成を行い,海底地形についてはこれまでに実施されたデータを入手して,これらを加工して海陸を統合する地形図およびアナグリフ画像が作成できた。
石垣島については,国土地理院から詳細な地形データが公開されたことを踏まえ,年度当初予定していなかったが,周辺海域のデータを集めて地形発達について検討を行った。
いずれの地域でも,これまでとは異なる地殻変動像が導き出されつつある。

今後の研究の推進方策

平成30年度は,SfM-MVS技術と撮影年代の古い空中写真を用いて作成される地形モデルの精度検証を引き続き,伊江島など沖縄県の離島で実施する。また,伊江島,伊是名島,沖永良部島を対象に,国土地理院が1970年代に撮影したカラー空中写真から,SfM-MVSソフトを用いて地形モデルを作成する。
産業技術総合研究所および海上保安庁等で測深されたデータを可能な限り収集し,加工して DEM に変換する。不足している地域については日本水路協会の等深線データを後藤(2015b)の方法で加工し,沿岸海域のDEMを生成する。
上記の作業で得られた陸上および海底の地形データをを用いて,ステレオ画像(アナグリフ)を作成し,これ用いて活断層図や海成段丘の地形面分類図を作成するとともに,旧汀線高度の測定適所をGIS上に開いたステレオ画像で判読しながら選定し,地形計測を行う。
これらを通して海陸を見通した当地域の地形形成史や地殻変動について検討する。

次年度使用額が生じた理由

772円と極めて少額であり,ほぼ予定通りの執行と言えよう。少額の研究費は次年度の調査旅費や消耗品の購入として有効に利用したい。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Late quaternary slip rates and vectors on the Median Tectonic Line active fault zone in eastern Shikoku, southwest Japan2018

    • 著者名/発表者名
      Goto Hideaki
    • 雑誌名

      Quaternary International

      巻: 471 ページ: 267~277

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.quaint.2017.12.013

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 変動地形学的特徴にもとづく立川断層南部の存在の再確認2017

    • 著者名/発表者名
      渡辺 満久, 中田 高, 後藤 秀昭
    • 雑誌名

      地震 第2輯

      巻: 70 ページ: 81-87

    • DOI

      https://doi.org/10.4294/zisin.2016-15

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 四国西部の中央構造線断層帯の地形と地質2017

    • 著者名/発表者名
      池田 倫治, 後藤 秀昭, 堤 浩之
    • 雑誌名

      地質学雑誌

      巻: 123 ページ: 445-470

    • DOI

      https://doi.org/10.5575/geosoc.2017.0036

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 地球を俯瞰する自然地理学 熊本地震と活断層2017

    • 著者名/発表者名
      後藤秀昭
    • 雑誌名

      科学

      巻: 87 ページ: 421-424

  • [学会発表] 石垣島の変動地形とその周辺の海底地形 ─海陸を統合した地形ステレオ画像による検討─2018

    • 著者名/発表者名
      後藤秀昭
    • 学会等名
      日本地理学会2018年春季学術大会
  • [学会発表] 四国東部における中央構造線活断層帯の変位速度と活動間隔2017

    • 著者名/発表者名
      後藤秀昭
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2017年大会
  • [学会発表] 海陸を統合した地形データを用いた変動地形学的研究 ─石垣島の海成段丘の傾動と海底地形─2017

    • 著者名/発表者名
      後藤秀昭
    • 学会等名
      日本活断層学会2017年秋季学術大会
  • [学会発表] Late quaternary slip rates and recurrence interval on the Median Tectonic Line active fault zone in the eastern Shikoku, southwest Japan2017

    • 著者名/発表者名
      Hideaki, Goto
    • 学会等名
      Asian Oceania Geoscience Sociey 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] 海陸を統合した地形データからみた種子島南西部とその周辺の変動地形2017

    • 著者名/発表者名
      林 貢平・後藤秀昭・隈元 崇
    • 学会等名
      日本活断層学会2017年秋季学術大会
  • [図書] 1:25,000都市圏活断層図「彦根東部」2017

    • 著者名/発表者名
      後藤秀昭・石村大輔・岡田真介・堤 浩之・中田 高
    • 総ページ数
      1
    • 出版者
      日本地図センター(技術資料番号D1-No.759)
  • [図書] 1:25,000都市圏活断層図「御在所山」2017

    • 著者名/発表者名
      堤 浩之・石村大輔・後藤秀昭・中田 高・八木浩司
    • 総ページ数
      1
    • 出版者
      日本地図センター(技術資料番号D1-No.759)
  • [図書] 1:25,000都市圏活断層図「熊本(改訂版)」2017

    • 著者名/発表者名
      熊原康博・岡田真介・楮原京子・金田平太郎・後藤秀昭・堤 浩之
    • 総ページ数
      1
    • 出版者
      日本地図センター(技術資料番号D1-No.868)

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公開日: 2018-12-17  

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