本研究はインド東海岸ゴダバリ・クリシュナ両デルタならびにその間に位置するコレル湖地域の完新世地形変化と人類の活動の関わりを明らかにすることを目的とする。 本研究は、①アンドラ大学で保管しているボーリングコアの観察と分析、②ALOS衛星画像の分析による微地形判読、③浜堤列・旧河道の抽出と現地調査(土地利用現況を含む)、④地形精査とサンプリング、⑤考古データの収集・整理などによりすすめる計画である。 平成28(2016)年度はこれらのうち、まずアンドラ大学保管のクリシュナデルタのボーリングコアサンプルの年代測定(NDコア、3点)を実施した。その結果、3点中2点より完新世中期の年代値が得られた。 また、コレル湖に関してはボーリングコアの分析にもとづき、完新世の環境変化について同大K. Nageswara Rao教授らと共著で国際誌に論文を投稿した。コレル湖はラムサール条約登録湿地となっているが、多くはエビや魚の養殖場とされており、人工改変が著しい。コレル湖の土地利用変化に関してはK. Nageswara Rao教授らと共著の論文が2016年の国際誌Wetland誌に掲載された。 このほか、ゴダバリ・クリシュナデルタ地域のマングロ-ブ林の変化に関するレポートを別の国際誌に投稿し、2017年1月に査読結果が届いたため、マングローブ林に関する追加の資料収集を行い、2017年3月にアンドラ大にてその修正に関する打ち合わせを行った。また、あわせてコレル湖ならびにクリシュナデルタ東部のマングローブ林において現地調査を実施した。クリシュナデルタ東部のマングローブ林はかつて養殖場等であったところに再植林が行われ、その成果が現れつつある。これらにもとづき、2017年3月末にマングローブ林の論文修正稿を作成し提出した。
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