研究課題/領域番号 |
16K01231
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
加地 太一 小樽商科大学, 商学部, 教授 (60214300)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 最適化問題 / 組合せ最適化 / メタヒューリスティクス / アルゴリズム / 粒子群最適化法 / 確率的解析 |
研究実績の概要 |
最適化問題は様々なクラスに細分化され、その解法も複雑化されている。そのため、実務レベルでは利用価値がありながらその緻密さゆえ使いこなせない現状でもある。そこで問題のクラスに依存せず、あらゆる問題を解く汎用型最適化ソルバー(アルゴリズム)を構築し、最適化の今後の利用へとつなげていきたい。本研究では、潜在的な探索力、動作の柔軟さを秘めている粒子群最適化法(Particle Swarm Optimization、PSO)を用いて、汎用的に問題解決可能なアルゴリズムを開発する。特に、PSOの大きな欠点である高次元問題における性能悪化、および離散的構造に対応できない課題を打開していく。 本年度は、提案された粒子移動、および粒子群再構築によるPSOのパフォーマンス、限界などを検証した。特に、幾つかの代表的な問題を扱い客観的に検証し、問題点、改善点などのデータを得ることに努め、広く多様な問題に対応できることを検討した。 また、離散的問題に対応するためのペナルティー関数の開発に関して新たな提案、実験を行った。ここで得られる知見により、提案アルゴリズムをさらに洗練し、かつ汎用型ソルバーの基礎とする。ちなみに、この実験段階は労力、および時間を要する地味な段階であるが、本研究では、この分野における今後の発展に寄与するデータを幾つか集めた。 さらに、解(粒子)の移動を定義する近傍に関して、数理的な解析を行い、その性質、性能を明らかにした。これにより、より有効な解の移動を構築し、かつその解の移動の良し悪しを論ずることを可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに、いくつのベンチマーク問題に対して数値実験が行われ、客観的に高次元における性能を検討した。その実験を通して、提案された粒子移動、および粒子群情報再構築によるPSOの可能性、問題点などを調査、検討し、そのパフォーマンス、限界などを検証した。 また離散的問題に対応可能な粒子エージェントを開発し、連続問題しか扱えないPSO を離散的問題に対応させるため、ペナルティー関数を導入し、その性能などのデータを検討し、幾つか問題に対して有効な結果が得られ、その有効性を確認している。 しかし、ベンチマーク問題の幾つか対して必ずしも詳細な数値実験が及ばず、客観性を得るためには、多様な問題に対する数値実験の検証を必要としている。また、ペナルティー関数の開発においてもさらに詳細な検討が必要な段階である。さらに、解の移動を数理的に解析し、その性質、性能を明らかにし、選りすぐれた近傍の開発を進めて行きたい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、提案された粒子移動、および粒子群再構築によるPSOのパフォーマンス、限界などを幾つかの代表的な問題に対して詳細な検証を行った。また、離散的問題に対応するためのペナルティー関数の開発に関して新たな提案、実験を行った。しかし、広く多様な問題を実験するため時間を要し、問題の大きさ、パラメータの変化に対する詳細な数値実験にまで及ばなかった。また客観性を得るためには、多様な問題に対する数値実験の検証が必要であろう。 そこで、汎用性を明らかにするために、広く多様な問題に対して数値実験を行うため、実験環境の整備を行い、客観的な検証を進める。また、離散的問題に対応するためのペナルティー関数の開発に関して新たな提案、実験を行う予定である。ここで得られる知見により、提案アルゴリズムをさらに洗練し、かつ汎用型ソルバーの開発を行う。これらの実践的な開発、検証を行うことにより、この分野における今後の発展に寄与することを目指す。 また、解の移動を定義する近傍に関して、数理的な解析を行ったが、それを基盤として、メタヒューリスティクスの性能を解析する確率的解析を提案する予定である。これにより、提案する汎用的最適化アプローチの性能を理論的に検討可能となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】今年度、粒子群最適化法のパフォーマンス、限界などを検証し、粒子群最適化法の能力、限界を検討し、かつペナルティー関数の性能などを検討した。それらの効果に対して基本的なベンチマーク問題を用い数値実験を行った。しかし、広く、多様な問題に対する数値実験がまだ十分に行われておらず、客観性に欠ける部分がある。それらに対する補完的な数値実験は次年度に対応することとし、そのための実験環境の整備を次年度に回すこととした。その実験環境を整えるために必要な機材を次年度に購入するものとし次年度使用額として計上した。
【使用計画】次年度において、詳細な数値実験を行うために実験環境を整え、広範囲に検証を行う予定である。そのため次年度使用額を用いて、実験環境の充実をはかる予定である。特に、膨大なベンチマーク問題を検証し、その特性を明らかにするために、並列的に実験が行えるよう環境を整えたい。
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