研究実績の概要 |
大学や研究開発企業において営まれる「知識生産」は現代知識社会の基盤を形成している。先進諸国の科学技術政策は知識生産の促進を目的として数々の施策を試みてきたが、多くの政策は近視眼的であり、特に知識生産を支える知識人材の長期的な育成の視点に欠けている。学術的にも同様の問題が存在し、知識生産と人材育成を整合的に説明する理論の構築が必要とされていた。かかる現状を踏まえ、本提案では「知識生産」と「知識人材育成」の動的過程を統合的に理解することを通じて、科学技術政策への示唆を提供することを目的とする。
本計画は、主に国内外の研究機関・知識人材を対象としたフィールド調査・質問票調査、長期的な動学分析を目的とした2次データベースの構築、これらに基づく計量経済分析、また政策提言を目的とした、政策担当者に対するインタビュー調査・具体的な政策オプションの評価から構成される。
初年度には日本・英国・ドイツの国際比較を目的とした質問表調査を実施し、3カ国5分野の大学研究者2,300名よりデータを収集した。更に、日本国内の研究者については、より一般的な分析を目的として関連情報を各種公開/商用データベースより収集した。さらに、政策動向・ニーズを把握する目的で、大学・政府機関の担当者を対象としたインタビュー調査を実施した。二年度目には、初年度に収集したデータを統合し、得られたデータを用いて計量経済分析を行った。さらにフィールド調査を継続し、計量経済分析モデルを再構築した。本年度(最終年度)にはフォローアップの質問表調査を国内で実施し、全てのデータを用いた分析を実施した。
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