筋疲労モデルと平滑化手法を組み合わせることで、主観に近い作業負担感の反復作業による経時変化を示す方法を検討し、最適な平滑化法とその係数の検討を行った。この結果を踏まえて、これまでの成果を作業順序評価システムとしてとりまとめ、DHMへの実装を試みた。平滑化法としては指数平滑化が妥当であるが、係数は変更の可能性を残した。筋疲労モデルによる推定値は、テキスト出力することで他のシステムから利用可能にし、かつDHM内でもグラフ表示することで、タスク中の負担感の経時変化の観察を随時可能にした。タスク順序入れ替えの総合的な評価値としては、筋疲労モデルにおける疲労度の全体平均値、最終値、ピーク値などを求める。複数タスクの順序効果の検討については、指定された反復作業のタスク条件でタスクの順序を入れ替えた評価結果を出力可能とし、その順位付けを可能にした。 妥当性を確認するため、モデル的に設定した複数タスクよりなる作業実験を行った。実際の利用場面を考慮し、短時間の複数のタスクを反復する作業を設定して行った。作業としては上肢のみを使用する動作の小さいタスク、上肢の上下動が大きいタスク、上肢と腰部を同時に使用するタスクの3種類を設定し、そのすべての順序の組み合わせで実験を行った。これを筋疲労モデルで解析したところ、時間的な累積効果がモデルではやや低めになることが判明したのでその補正項を追加し、良好な推定ができることを確認した。なお、複数タスクを繰り返す作業の実験データは、データ量が膨大になってその切り分けが困難になる。そのため、動作データの特徴量に基づく動作分割法の適用可能性の検討も合わせて行った。
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