研究課題
合併・買収(M&A)のニュースがしばしばマスコミに取り上げられ,大きな話題となっている.企業が内部投資による事業の拡大よりも,合併・買収という手段によって外部から直接に事業の獲得をすることにより,自らの事業を拡大する経営戦略の表れであろう.歴史的には,規制緩和と経済のグローバル化が合併・買収を促進してきた.合併・買収の関する研究には,数多くの実証研究や事例研究があるが,理論的または解析的な研究は少ない.本研究では,リアルオプション手法によって,合併のタイミングと買収額を決める問題,対象企業と買収企業および合併後の企業の収益構造にシナジーとリスク分散をモデル化,合併前と後の企業収益とリスクの比較,の 3 点を理論的枠組みとするシナジー効果とリスク分散の視点から合併・買収の評価モデルを提案した.さらに,合併のインセンティブと買収額がどのようにリンクしているかを明らかにし,合併領域はモデルのパラメータによってどのように変化するかを定性的に数値的に分析した.本研究では確率的シナジー効果を一次同次に限定せず,合併領域の定性的な性質を分析し,さらに買収額に上限・下限を導入した.また,合併・買収に関する実証研究からの知見やファクトファインディングとして,資本市場は合併・買収に対してセミ強効率的であり,買収額,特に敵対的買収額は過大になりやすく,株式による買収は負のアブノーマルリターンをもたらし,インフレとデフレのときは合併が起こりやすく,敵対的買収は友好的買収よりも時間がかかるなどがある.これらの実証研究の結果と我々の理論モデルの結果が整合的であることを示した.
3: やや遅れている
2次元問題として企業買収に関するモデル化を行った点に関しては,順調に遂行しているといえる.ただし,研究代表者が11月下旬から産前産後の休暇および育児休業を取得したため,研究の遂行を中断している.
育児休業終了後には,継続する研究を再開する予定である.2次元2人問題として,企業合併に関する分析の拡張がまだ不十分であるため,そこに焦点を当てて分析に取り組む.
研究代表者が11月下旬から産前産後の休暇および育児休業を取得したため,研究の遂行を中断している.育児休業終了後に,継続する研究を再開する予定である.
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Asia-Pacific Journal of Operational Research
巻: 35 ページ: 1850040~1850040
https://doi.org/10.1142/S0217595918500409