研究課題/領域番号 |
16K01248
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
八木 恭子 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (80451847)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | リアルオプション / 最適停止 / 感染症モデル |
研究実績の概要 |
COVID-19等の感染症が世界的に流行する下で,各国政府は感染症の流行拡大に対抗する手段としてロックダウンまたは緊急事態宣言の発出を繰り返した.ロックダウンまたは緊急事態宣言を実施するタイミングすなわちいつ発出し解除するかの意思決定は,社会経済活動と国民の健康被害との間の厳しい冷酷なトレードオフを模索する問題である.政府によるロックダウンまたは緊急事態宣言の発出が遅くなれば,更なる感染拡大により医療システムの逼迫を招き,救えたであろう人の命が失われることに繋がる.ロックダウンまたは緊急事態宣言の解除が早すぎれば,感染症流行のリバンドを招き,結果としてロックダウンまたは緊急事態宣言が繰り返されて社会経済活動へのダメージがより大きくなる.ロックダウンまたは緊急事態宣言をいつ発出し解除するかの意思決定は,どのような指標に基づいて行うかに依存する. 本研究では,リアルオプションアプローチを用いて,感染症が人と人との接触により感染拡大することに鑑み社会的距離を保つ政策に代表される接触率を制御することで,感染拡大の抑制をコントロールする問題を確率微分方程式に基づき定式化した.ロックダウンまたは緊急事態宣言の発出時点で,ワクチンが利用可能とし,ワクチンの接種率と有効性の積として,ワクチンの有効接種率を表すことで,ワクチン接種後に閉じた人口母集団の中で感受性者数の比率を表した.したがって,ワクチンの接種率の増減が感染者数や死亡者数にどのような影響を及ぼすかを計量的に考察することが可能となった.そして,ロックダウンまたは緊急事態宣言の発出による効果に時間的遅れがあることに加えて,ワクチンの有効接種率を考慮した確率的SIRモデルに基づき感染症を制御する最適停止問題を考察した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が11月下旬から産前産後の休暇および育児休業を取得したため,研究の遂行を中断している.
|
今後の研究の推進方策 |
育児休業終了後には,継続する研究を再開する予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が11月下旬から産前産後の休暇および育児休業を取得したため,研究の遂行を中断している.育児休業終了後には,継続する研究を再開する予定である.
|