研究課題/領域番号 |
16K01249
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
永松 陽明 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (90708091)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 保守 / ビジネスエコシステム / シミュレーション |
研究実績の概要 |
製品の継続使用には保守が必要となるが、魅力的な価格でサービスを提供するサードパーティの品質には課題があり、メーカや顧客にとっても好ましい状況ではない。そこで、本研究は、製品・保守のビジネスエコシステムを構成するメーカ、サードパーティ、顧客が 互いにメリットを享受するため、エコシステムの発展要因解明と各プレイヤのすべきプロセス導出を行う。手法は、システムダイナミクスとプロセスアプローチを用いてモデルを作成し、ビジネスエコシステムレベル、各プレイヤのプロセスレベルでダブルシミュレー ションを行い、結果を導出する。 1年次では、事前調査を行ったマリンエンジン・建設機械を対象製品とし、想定している研究ステップ及び研究アプローチの有効性を確認した。2年目となる本年は、引き続きモデルの精緻化をマリンエンジンと建設機械を対象に実施した。併せて、「下水道システム」といったミクロ的な視点と「政府の政策による産業育成」「個人情報の公正な取引」といったマクロ視点でのシミュレーションを実施し、今後進めるべきミクロ、マクロレベルでのダブルシミュレーションの事前検討を実施した。併せて、プロセスモデルを精緻化するにあたり、様々な課題がある中国の乳業における失敗事例の研究を実施した。 また、研究対象としている「マリンエンジン」「昇降機」「建設機械」は東京工業大学など共同研究機関の支援を受けつつ、代表企業からヒアリングを実施し、膨大な資料からのデータ収集を行った。最終年度に向けての最終シミュレーションを行う段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の研究目的に照らし、概ね計画通りに進捗していると考えている。 研究体制としては、東京工業大学、横浜商科大学、立命館アジア太平洋大学に加え、千葉商科大学とのシステムダイナミクス及びプロセスモデルの研究の交流を開始し、その充実を図った。 研究面においては、昨年度に引き続き「建設機械」「マリンエンジン」「下水道システム」に加え、「政府の政策による産業育成」「個人情報の公正な取引」のシミュレーション実装も併せて行い、システムダイナミクスに関するモデルの迅速な開発と改善についてノウハウを獲得した。プロセスモデルにおいては、「中国における乳業の失敗比例の分析」などを通じて、作成手法の安定性評価を行った。以上により、本研究を進める上で必要な方法論の精緻化を行うことができた。併せて、それぞれの研究について論文投稿や学会発表を行い、着実な成果出しを行った。 研究対象である「マリンエンジン」「昇降機」「建設機械」においては、研究協力大学のほかからデータを提供され、併せて代表企業にヒアリングを行い、ミクロシミュレーションのデータを収集を収集した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに、①システムダイナミクスに関するモデルの迅速な開発と改善についてのノウハウを獲得とプロセスモデルに関する作成手法の安定性評価を実施し、シミュレーションモデル開発手法の確立化、及び②研究を支える大学などとのタイアップを強化したシミュレーションモデル開発用データ収集を実施した。 今後も①と②の精緻化、充実化を図ると共に、「マリンエンジン」「昇降機」「建設機械」関連組織に対するフィールドサーベイの充足化を図る。併せて、掲げている3つの事例だけではなく、事例がリッチに存在するスポーツ技術開発、とくに障がい者スポーツ(パラスポーツ)も研究対象に広げ、日本財団パラリンピックサポートセンターの支援を受けることに合意した。 また、想定した学会だけではなく、多くの学会で投稿や学会発表を行うことにより、研究の安定性を高めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
シミュレーションを実施するためのデータ整理の予算を立てていたが、研究支援大学の協力により、既にデータクレンジが行われたデータが提供されたため、人件費を消化していない。今後の研究の進捗及び発展性を考慮して、中国・精華大学とのシステムダイナミクスの議論などを行うために活用予定である。
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