研究実績の概要 |
本研究では、社会基盤構築を含めた重要なプロジェクトを成功に導くことを目的とし、これまでプロジェクト上流段階における要求仕様化の研究と、遂行段階におけるプロジェクトマネジメント研究の狭間で見逃されて来た管理技術に着目した。すなわち、要求仕様化とプロジェクト遂行の間に必要となる、①見積り計画立案手法、②プロジェクト遂行体制と契約方式の設計について、研究開発を実施した。 2019(令和元年)年度は、「見積り計画立案手法」として、前年度に引き続き見積管理プロセスのモデルを拡張し、動的に到着する各見積案件に投入する見積り資源と見積精度のバランスを考慮した資源流量に基づく見積り資源の配分方法、および、プロジェクト選定を含めた見積り計画立案手法を検討した。開発した手法の有効性を、経験的なデータを用いてシミュレーションにより確認した。 「プロジェクト遂行体制と契約方式の設計」については、ランプサム契約、コストプラスフィー契約、単価契約についてValue-at-Riskによるリスク評価、契約方式の確率モデルの検討を引き続き行った。さらに、プロジェクトの発注者の視点から、競争入札に招待する企業の評価と選定について、発注者と受注者のリスク、期待利益、競争入札環境を考慮した入札企業選定問題を検討した。また、プロジェクト遂行体制の計画手法として、共同施工方式を想定したコミュニケーションマネジメントの観点からプロジェクト組織設計の検討を行った。 これらの成果は、ICPR2019, APIEMS2019、プロジェクトマネジメント学会、日本オペレーションズ・リサーチ学会、横幹連合などで公表した。
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