研究課題/領域番号 |
16K01254
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
秋葉 知昭 千葉工業大学, 社会システム科学部, 教授 (60505767)
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研究分担者 |
肖 霄 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (30707477)
高橋 奈津美 青山学院大学, 理工学部, 助教 (60780319)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 多目的ネットワーク / パレート最適 / アルゴリズム / 最適設計 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,ネットワーク構造で表現可能なシステム設計問題において,様々な問題を的確に適用できる多様な多目的ネットワークの最適設計問題に注目し,部分ネットワークの最適解と全体ネットワークの最適解の関係や,対象問題ごとのパレート最適解の疎密範囲等を精査し,a)任意の k 点間を連結する多目的ネットワークのパレート最適解導出方法の効率化の提案と,この結果を踏まえて,従来の多目的ネットワークに加え,b)エッジ・ノード及びネットワーク全体が取りうる状態において,多状態,または,従属性を考慮した多様な多目的ネットワークの新たな最適解導出方法の提案を行い,多様な多目的ネットワークの最適解導出方法の統一的手法確立を目的とする. 平成28年度は,(1)国内外の文献再調査を進め,グラフ理論等に基づく多目的・多状態ネットワークに関する既存研究,並びに,新しいアプローチの理解を進めた.次に(2)ネットワーク間の連結関係の検討を進め,ネットワーク信頼度とコストの関係を考慮した最適ネットワーク構成問題で,部分ネットワーク構成を考慮したアルゴリズムを提案した.また(3)パレート最適解導出方法の改良のために,より一般的に活用できるパレート最適解判定アルゴリズムの構築,及び,目的関数の増加による解探索空間拡大と解探索空間削減方法の効率化の関係を精査した.以上の研究を進めることで,(4)多様な多目的ネットワークの評価関数を考察を行った.加えて,これらの研究を通して得られたアイデアを元に,ネットワークシステムの特殊な場合といえる Consecutive-k システムとその応用システムにおけるコンポーネント最適配置問題も考察し,最適配置となる条件を求める研究への新たな展開を行った.これらの成果を,国際会議5件,国内会議3件にまとめた.また雑誌論文として2件を投稿し,現在審査中にある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は当初計画に基づき,(1)グラフ理論等に基づく多目的・多状態ネットワークに関する国内外の文献と発表資料を調査し,部分ネットワークの連結関係に関する調査を進めると同時に,特にパレートフロント探索で有効な探索空間削減方法と多目的ネットワークの新たな展開事例などの資料を集めた.次に,(2)ネットワーク信頼度とコストの関係を考慮した最適ネットワーク構成問題で,部分ネットワーク構成を考慮したアルゴリズムを提案した.また,(3)多様な多目的ネットワークの最適解導出方法において,パレート最適解導出のために提案された解探索空間の削減方法に対して,より一般的に活用できるパレート最適解判定アルゴリズムの構築を行い,これを活用して目的関数の増加による解探索空間拡大と提案された解探索空間削減方法の効率化の関係を精査した. もう一つの当初計画課題である(4)k点間,及び,全点間信頼度の算出アルゴリズム改良に対して,部分ネットワークと全体ネットワークの関係を調査し,高速な算出アルゴリズム構築のためのアイデアを整理している. 以上を踏まえ,平成28年度は研究計画に基づき,概ね計画通りに推移したと考える. 加えて,これらの研究を通して得られたアイデアを元に,ネットワークシステムの特殊な場合といえる Consecutive-k システムとその応用システムにおけるコンポーネント最適配置問題も考察し,最適配置となる条件を求める研究への新たな展開を行った.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度はk点間信頼度と全点間信頼度の算出アルゴリズムを改良するための部分ネットワークと全体ネットワークの関係の調査結果 "(4)" を踏まえて,(5)エッジの評価関数の一つに信頼度有する多状態ネットワークの全点間信頼度算出方法の検討を進め,ネットワーク信頼度を考慮したネットワーク問題の解法提案の一助となる効率的アルゴリズムの提案を行う.また,最適ネットワーク構成問題における部分ネットワーク構成を考慮したアルゴリズムの成果 "(2)" と多様な多目的ネットワークの最適解導出方法における解探索空間削減方法の効率化の精査結果 "(3)" を踏まえ,(6)多状態ネットワークの最適経路探索方法を新たに考察する. なお,国内外の文献再調査 "(1)" を平成29年度も継続して実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究データ共有のために計画したノートPCとプリンタが予定仕様に合わず,また,早急に必要とならなかったために機種再検討とした.その結果,平成28年年度内に未発注となり物品費に差額が生じた.また,国内会議参加が比較的近距離な場所になったこと,及び,研究遂行上で予定した謝金等が,一部,平成28年度内で依頼できなかったために差額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
物品に関しては平成29年度中に機種再検討を行い,実際に必要な物品の購入を計画する.また,謝金や雑誌投稿料などへの追加支出を予定する.
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