研究課題/領域番号 |
16K01256
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高橋 大志 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 教授 (60420478)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 資産価格理論 / 資産運用 / 企業統治 / エージェント / ファイナンス |
研究実績の概要 |
本研究では、計算機科学において進展してきたエージェントベースモデルおよび現実のデータを用いた実証分析を通じ,企業統治が金融市場に与える影響について分析を行う. 本年度においては,実証分析およびモデル構築に必要となるデータベースの構築を昨年度より継続して実施した.情報技術の進展により大規模なデータを対象とした分析を効率的に実施できるようになっている.これらを背景とし,本研究では,資産価格の日中価格変動を対象とした大規模データのデータベース上への整備を実施した.具体的には,日本国内および韓国上場企業の主要企業に焦点を当て,高頻度データのデータ整理を行いデータベースの構築を行った.また,各個別銘柄のティック単位の詳細な取引データから,分析効率向上のため,分析間隔等を整えたデータベースを構築した.それらと並行して分析に不可欠である企業属性データについても収集整理を行った.更に,現実の企業統治に関する活動の調査のために,金融市場参加者へのヒアリング調査もあわせて実施した. 本年度においては,これらデータベースおよび調査結果を用い企業統治と資産価格の関連性について分析を行った.本研究のデータ分析においては,基礎的な統計手法および近年関心を集めている深層学習などの機械学習の成果を取り込んだ分析を実施し,金融資産との関連性について分析を実施した.分析の結果,企業属性と各個別の株式の間に強い関連性を見出している.更に,情報の非対称性を考慮したエージェントベースモデルによる分析も実施している.本研究の成果の一部は,学会,研究会等にて意欲的に発表を実施している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は,実証分析およびモデル構築に必要となるデータベースを拡張した.また,計算機科学における近年の成果を取り入れた手法による分析も実施しており,本研究課題は当初の計画以上に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
構築したデータベースの拡張およびデータベースを活用した実証分析を実施予定.また,金融市場シミュレーターの構築・改善および分析も実施の予定.また,研究の遂行に加え,成果発表およびとりまとめを実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:本研究における実データを用いた実証分析において当初の想定以上に研究成果がでていることから,研究発表を優先して実施しているため、企業属性に関するデータベースの拡張を次年度に持ち越している. 使用計画:本年度においては,前年度から継続して,データベースの拡張および金融市場シミュレーターの構築を行う予定である.具体的には,企業の役員構成および企業属性に関するデータベースおよびワークステーションの購入を実施の予定である.また,分析と並行し、研究成果の発表およびとりまとめを実施の予定である.(学会参加費,原稿投稿料)
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