2018年9月イタリアParestumで開催された UNISActurial SCHOOL 2018 において、私と同じく招待講演を行なったコペンハーゲン大学の Morgens Steffensen 教授を法政大学に招き、JARIP特別研究会を2019年1月10日に開催した。講演題目は "Consumption-Investment-Insurance Problems"であり、他大学および保険数理の実務家が参加した。講演では "Life insurance and life annuity puzzle"にも連続型消費と投資モデルに保険を含めたモデルの紹介があり、保険リスク管理を経済学の基本原理から理解する方法とその問題点が明らかになった。この研究の方向は2019年から開始した研究課題「長寿デリバティブによる年金基金のリスクヘッジの有効性」に理論的モデルとその限界を示唆しており、有益な意見交換ができた。 2019年5月30日ー6月1日までイタリア・シエナで開催された Workshop New Frontier in Stochastics for Economics and Finance では ミラノ大学の Marco Frittelli 教授の "Systemic Optimal Risk Transfer" 研究が今後の経済的不安定を理論的に考察する重要な概念を提供した。帰国後、彼らの論文を入手し、名古屋市立大学の宮原孝夫教授と共同研究によって、H. Buhlmann の Economic premium principle 理論を保険理論から国債発行に関連する金融システムに拡大する共同研究を開始した。この報告書を書いている段階で新型コロナウイルスの経済リスクが発生しているが、Systemic Optimal Risk tranfer 理論の共同研究は経済危機分析に有用になると考えている。
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