本論文では,二輪車用死角確認システムの検討が行われている.まず初めに二輪車のミラー視野の測定を行い,二輪車の側面に死角が多いことを確認した.次に,カメラユニットにより車両の後方映像を撮影し,二輪車のハンドル部に取り付けたモバイル端末に映像を表示することでライダーが頭部を後方に向けることなく後方を確認できるシステムを構築した.その結果として,車両の後方60度をシステムにより確認できるようになった.しかし,死角は車両の側面に多いことから,カメラ1台の後方映像だけでは死角領域をカバーしきれないことが確認できた.そこでカメラを2台使用し,それぞれを車両側面に向けて死角領域を確認するシステムを検討した.その結果として,真後ろは従来通りミラーで確認を行い,車両側面60度ずつをシステムにより確認できるようになった. 更に,車両の認識を行い,死角領域に車両がいた場合にライダーに警告をするシステムの検討を行った.検出した車両に対して,画像上の車両の高さから距離を計算しその結果によって車両が近くにあり危険であるか,車両が遠くにあり安全であるかの判定を行っている.他車両が自車両から40[m]以上離れていれば安全,10[m]から40[m]の間であれば注意,10[m]より近ければ危険と判断する.測距のための走行実験を行い,車両との距離が10[m]から50[m]間で誤差2[m]以内で測距が可能になった.また,映像の消失点の情報を用いて車両が自車両に向かってきているのか,離れていくのかを判定し,自車両に向かってきていれば警告をし,離れていけば警告をしないような動作を行っている.
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