以下の3つの事例について実用的なスケジューリングシステムを作成した. 1)ある病院の麻酔科医のシフトスケジューリングの作成:病院の麻酔科医は,日勤に加えて,夜勤や休日の当直など複雑なシフトを組んでいる.麻酔科医は激務なので,なるべく公平で,業務負担の少ないシフトを作成しなくてはならない.勤務日,必要人数を考慮したシフトの自動作成システムを作成した. 2)自動車部品会社の研修の時間割作成:中部地区のある自動車部品会社で行っている研修について,講師と受講者の都合を調整して自動作成する.この企業の研修会は,非常に大きな規模で行われており,その講師の割当,受講者の選択は大きな業務負担になっていた.この時間割の作成を自動的に行うシステムを作成した.さらに,この企業では研鑽会も行っており,その場所,時間をスケジュールするシステムも作成した. 3)食品会社の従業員のシフトスケジューリングの作成:中部地区の食品工場の従業員のシフトを自動作成する.この食品工場では,24時間営業で食品を製造している.従業員は8時間勤務の3交代で勤務している.従業員は,正社員,パート,アルバイト,派遣社員の4種類に分類され,それぞれ勤務の条件が定まっている.一方,工場の各部署では,時間帯によって必要人数が決められており,この両方の条件を満たすシフトを作成しなくてはならない.これを自作成するシステムの試作を行った. これらのシステムは,現場で活用されている.今後は、現場からのフィードバックを受けて,システムのさらなる改修を行う.また,これらのシステムを作成している過程で,病院からは,リハビリスタッフのシフト作成,自動車部品会社からは,会議資料作成手順の自動化,食品会社からは,生産システムの可視化と最適化の問題を提示されている.今後はこれらの問題も含めてオペレーションズ・リサーチの手法を用いた解決策を考案する.
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