研究課題/領域番号 |
16K01274
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
加藤 省吾 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 臨床研究開発センター, 室長 (80516766)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 標準化 / 品質管理 / 社会システム / 理学療法 / 作業療法 / 言語聴覚療法 / 質分析 |
研究実績の概要 |
研究代表者等の既往の研究の成果として、患者の回復過程を複数の治療フェーズでチャート化し、各治療フェーズにおける評価項目と評価結果に応じて実施すべき介入項目を含むリハビリパスを開発している。言語聴覚士の嚥下障害を対象とするリハビリパスは、評価結果と介入結果の記録ツールとして、平成27年1月より聖マリア病院で実運用されるに至った。 本研究では、原疾患の患者背景に応じて最適なパターンを選択する手法を開発することを目的とした研究を行っている。脳血管疾患のリハビリを対象とし、他の種類のリハビリについても開発を並行して進め、方法論の一般化を行っていく。平成28年度の実績としては、嚥下障害のリハビリを対象としてパイロットスタディを実施した。具体的には、(1)嚥下障害についての患者因子シートの作成、(2)嚥下障害についての患者因子の評価、を実施した。 (1)嚥下障害についての患者因子シートの作成:4つのフィールド病院で用いている患者プロファイルシートや療法士のサマリから、問診・身体所見・理学所見を抽出し、共通項目を整理した上で、嚥下障害のリハビリの進行や予後に影響を与えると考えられる項目を議論して整理した。それぞれの項目の選択肢を準備し、患者因子シートを作成した。 (2)嚥下障害についての患者因子の評価:過去に蓄積された嚥下障害のリハビリに対する情報をもちいて、患者因子のレトロスペクティブな評価を試みた。リハビリパス上でのユニットの進行、および食形態の進行に影響を与える因子を特定するため、ユニット進行度合い、ユニット進行速度、および食形態進行度合い、食形態進行速度などの指標を設定し、過去に蓄積された症例の情報から解析を行った。その結果、これらの指標に対して影響を与える因子、与えない因子の候補を挙げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(2)嚥下障害についての患者因子の評価について、当初計画ではフィールド病院に設置するノートPC上で入力して情報を蓄積して解析を行う予定であった。フィールド病院では、平成27年1月よりリハビリパスをPCアプリケーションとして実装し、評価結果とか介入結果の記録用ツールとして運用しているが、電子カルテシステムと連動していない状況にあり、運用にあたっては療法士への業務負荷を考慮し形態で行う必要がある。患者因子シートについては、4つのフィールド病院の情報から作成したものを聖マリア病院で実装するにいたったが、療法士への業務負荷を考慮して、業務での運用はまだ開始していない状況にある。
そのため、新たに蓄積したデータでの評価は実施せず、過去に収集していた別の病院の情報を活用し患者因子の評価を行っている。当初計画していたフィールド病院での新規データを用いた患者因子シートの評価については、平成29年度以降、現場での業務負荷が少ない形での運用形態を整え、行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度には、(4)他障害のリハビリパスの作成、および(5)脳血管疾患に関する共通患者因子シートの作成を行う計画をしている。嚥下障害の患者因子に関する新規データの蓄積がやや遅れている状況にあるが、これらの課題については並行して進めていける状況にある。理学療法士、作業療法士が担当する基本動作、ADLのリハビリパスの作成を行い、患者因子についても共通項目の検討を行なっていく。
今年度計画通り実施できなかった(2)嚥下障害についての患者因子の評価については、フィールド病院で新規データを蓄積して評価を行うために、現場での業務負荷が少ない形での運用形態を整えていくことが課題である。最初に表示される選択肢や入力範囲を限定するなどの工夫を行い、業務負荷が小さい形での運用形態をまず整える。その後、フィールド病院で新規データの蓄積を開始し、当初予定していた新規データでの評価を行なっていく予定である。
患者因子についての新規データを蓄積することができれば、(3)嚥下障害についての治療パターン選択ロジックの設計についても、収集したデータから解析を実施していく。
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