北極海航路の運航の現状を明らかにするために、人工衛星で収集された船舶情報時系列データである衛星AISを用いて北極海における船舶運航の現状を調べた。北極海の海氷面積が最小となった年である2012年において北極海航路を航行した船舶であるタンカーに注目した。タンカーは海氷密接度が低い海域においてより速くなる傾向を示し、これは衛星AISデータ及び海氷密接度データを用いることによって海氷域における運航状況をある程度説明できることが示唆される。これらのデータを用いて北極海航路周辺の海氷域を航行する船舶の船体速度推定式を算出し、より現実的な航海シミュレーションを構築することができた。
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