研究課題/領域番号 |
16K01288
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 実 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (90127184)
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研究分担者 |
川上 朋也 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (30710470)
高 俊涛 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (30732961)
柴田 直樹 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (40335477)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 避難誘導 / スマートフォン / 屋内位置推定 |
研究実績の概要 |
停電時に地下街から脱出するために避難誘導灯が設置されているが、必ずしも十分な役割を果たしていないことが指摘されている。本研究では、スマートフォンが発する光を用いた避難誘導手法の開発を目的とする。具体的には、ネオンサインのように避難すべき方向に光が流れて見えるように各スマートフォンの光の制御を行う。そのために、地下街の地図情報およびWi-Fiによる屋内位置推定を用いて各スマートフォンは避難口までの距離を計算し、現在時刻に基づく同期を取ることで、協調してスマートフォンの光量の調整を行う。 本手法実現のため、すべてのスマートフォンが時刻同期し、かつ、自身の位置をある程度の精度で認識する必要がある。スマートフォンはかなり精度の高い時計を保持しているので、各スマートフォンの現在時刻で同期できると仮定する。位置推定に関して、地下街ではGPSの利用は期待できないことから、避難誘導装置をアンカーとしてWi-Fi電波の受信強度値(RSSI)を用いた屋内位置推定を行う。比較的簡便で高い精度が期待できるFingerprinting方式を採用する。まず、位置と複数のアンカーから得られるRSSIの関係を事前にデータベース化しておく。位置推定には、複数のアンカーからRSSIを計測し、それをデータベースと照合し、最もパタンの近いものを推定位置とみなす。 次に、避難誘導装置の設計を行った。停電時に自主電源で動作する避難誘導灯にWi-Fi機能を持つ避難誘導装置を取り付ける。自主電源への切替えをトリガとして、避難誘導装置は、地下街の地図情報、本システムのアプリケーションプログラム等をWi-Fiにより近隣のスマートフォンにブロードキャストする。以上の機能はあまり電力を必要としないワンボード・マイコンで実現でき、現状の避難誘導灯に十分併設可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題に関連した研究成果として、本年度、学術論文誌への掲載が1件、IEEE主催の査読付国際会議での発表が2件あった。また、国内研究会での発表(ポスター発表を含む)を6件行っている。これらのことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に続いて、アルゴリズムの詳細化・位置推定手法の開発を行うことを計画している。さらに、本研究課題で提案する手法の有効性を確認するために、計算機シミュレーションによる実験・評価を実施することを考えている。 本研究では、徒歩による避難誘導を主な対象としているが、実際には、自動車による避難は非常に多い。本研究課題に密接に関連した課題として、自動車の適切な誘導方式の開発も考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度必要な機器が当初の計画よりも少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、2回程度の国際会議での研究発表を予定しており、そのための外国出張旅費に充当する予定である。
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