研究課題
2019年度は、不完全点検下における点検実施機会について、システムを構成するコンポーネントの重要性に着目した点検順序に関する研究を中心に行った。システムを構成するコンポーネントは、その機能や構造的配置等の条件により、システムにおける重要度が決定される。不完全点検下においても、コンポーネントの重要性は、点検能力とともに、システムの構造にも依存すると考えられる。例えば、直列にコンポーネントが構成されたシステムにおけるコンポーネントの重要性について考えたとき、一般に信頼度の低いコンポーネントの重要性(システム信頼度に大きな影響を与えるという意味)が高い。しかし、不完全点検下においては、コンポーネントの信頼度関数とともに点検能力の影響により、システム故障が正しく発見される、もしくは正常なシステムが正常であると正しく判断される視点において、コンポーネントの重要性が逆転する現象が存在する。そこで、システムを構成するコンポーネントの重要性を計る尺度として用いられることが多い既出モデルを用い、点検能力を考慮できる修正モデルを提案、数値実験による検証を実施した。数値実験の結果、システム構造に依存し、システムを構成するコンポーネントの重要性が時間とともに変化し、点検を実施する機会を適切に設定する必要性があることを確認できた。また、コンポーネントの信頼度、点検能力、システム保全を実施すべきタイミングを考慮したうえで、いつ点検を実施すべきか、もしくは実施すべきではない期間はいつであるかについて、定量化することを実現した。これらの研究結果により、不完全点検下において、システム構造、コンポーネントの信頼度、点検能力を考慮した、コンポーネントの点検順序を決定するモデルの提案が可能となった。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
International Journal of Reliability, Quality and Safety Engineering
巻: - ページ: -
Proceedings of 25th ISSAT International Conference on Reliability and Quality in Design
巻: 1 ページ: 170-174