研究課題/領域番号 |
16K01305
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研究機関 | 沖縄工業高等専門学校 |
研究代表者 |
比嘉 吉一 沖縄工業高等専門学校, 機械システム工学科, 教授 (20335368)
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研究分担者 |
井山 裕文 熊本高等専門学校, 機械知能システム工学科, 准教授 (40300660)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 島尻マージ / 土壌特性 / 衝撃波 / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では,計算機シミュレーションにより得られる定量的なデータに立脚した「不発弾処理時の避難半径」を決定することを目的としている.具体的には,不発弾の大きさ,弾頭形状および土壌特性の違いを精緻にモデル化し,これらを導入した数値シミュレーションモデルによる計算機実験を通して,避難半径を決定・提案する.さらに,防護壁(ライナープレート)の設計・施工方法についての計算機シミュレーションを通して,積極的な避難半径の縮小化を目指す. 研究初年度は,沖縄県本当南部地域に広範囲に分布する「島尻マージ」を対象に,当該土壌のボーリングコアを取得し,これらの力学試験により,密度,保水率,圧縮強度といった静的パラメータを得た.さらに,爆轟時の飛散挙動に大きく寄与する土壌動特性については,熊本大学パルスパワー科学研究所内の衝撃実験棟の共同利用により,爆轟誘起の衝撃波伝ぱ挙動を超高速度ビデオカメラによる光学観測実験により明らかにした.ここでは,サブナノ秒-数μ秒オーダーでのフレーム解析により,全3種,計12回の入射衝撃波に対する透過衝撃波伝ぱ挙動観測を行った.さらに.これら入射・透過衝撃波速度に関連したユゴニオ状態方程式中の各種パラメータについては,実験観測と詳細な画像解析により算出を行った.さらに,得られた「島尻マージ」の各種パラメータの妥当性を検討する目的から,実験系の同様に,「銅雷管」「高速度・低速度火薬」「アクリルブロック」「島尻マージ」からなる数値シミュレーションモデルの作成を行った.これらの数値実験結果と実験結果との比較検討により,算出パラメータならびに実験系の妥当性について確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」に記載の通り,土壌動特性評価により数値シミュレーションに必要な材料特性である入射・反射衝撃波伝ぱ速度,状態方程式中の各種パラメータを得られたものの,同一実験系を再現した数値シミュレーションモデルの作成に時間がかかり,研究開始年度の終盤での完成となったため,①算出パラメータの妥当性の検討,②炸薬量,弾頭形状に依存した計算機実験の実施が十分に行えなかった.
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」に記載の不発弾種に関連する「炸薬量」および「弾頭形状」については,そのCADモデルの調査より計算機モデルの作成は終えている.研究2年目においては,当初の研究計画に記載していた数十例にも及ぶ計算機実験を実施し,不発弾爆轟時の「粒子速度ベクトル」「粒子密度分布」を可視化することで,島尻マージに特徴的な一次飛散挙動について明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の分担者予算において,144,664円の残金が発生し,次年度の繰越しとなった. 当該年度の計画では,分担者が海外調査旅費として120千円を計上していた.これは,過去に共同研究の実績があり,様々な物質の衝撃特性評価および数値シミュレーションについて多くの知見を有する,北京理工大学(中国)の劉博士に,これまでの衝撃特性の算出方法の参考資料の調査とアドバイスを受けるための旅費予算であった.しかし,相互の校務等のスケジュールの都合で,渡航の機会が年度内に設けることができなかった.また,土壌動特性評価システムの構築にあたり,当初予算よりも安価に納品できることが可能となったため,合計で上記の次年度繰越金が発生した.
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次年度使用額の使用計画 |
繰越金を平成29年度予算として使用する.その計画としては,再度,調査旅費としての使途に充てる. 本申請の目標達成のために,さらに幅広い見解を持って国際的な調査が必要となる.そのため,当該繰越金は国際調査旅費としての予算に繰越す.
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