男体火山で約3万年前に発生したプリニー式噴火は、噴火終盤に多量の高密度玄武岩質火砕物が噴出した特異な噴火であった。この噴火の噴出物(男体小川テフラNt-Og)について物質科学的解析を行い、噴火前のマグマ溜りが、デイサイトマグマ、安山岩マグマ、玄武岩マグマが上下に配置した層状マグマ溜りであったこと、各マグマが単一の親マグマから斑晶鉱物の除去と付加、地殻物質の同化により形成されたことが明らかになった。Nt-Ogのように高密度火砕物を多量に噴出したプリニー式噴火の例は他になく、同様の噴火が発生した場合、火口の風下側10 km内では甚大な人的被害が発生する可能性が高い。
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