研究課題
平成30年度は、強震動予測法の一手法として経験的グリーン・テンソル法の有用性を示すために、広帯域地震動への応用および大規模地震への応用に向けた改良を行った。さらに、提案手法の有用性を広く周知するために、適用事例の積極的な論文発表を実施した。主な研究成果の概要を以下に記す。福井県嶺南地方の観測記録を用いた事例では、7個の小地震(マグニチュード(M)4程度)による強震記録を用いて、短周期から長周期までの地震動を表わす経験的グリーン・テンソルの推定を行い、その成果を査読付き論文としてまとめ、国際誌にて発表した。これらの小地震はM7地震の発生が懸念される三方断層に近いことから、今後の地震記録の蓄積に応じて、経験的グリーン・テンソルの更新を継続するとともに、M7地震の想定震源パラメータを用いて、強震動予測を行う予定である。2001年芸予地震(M6.7)について、広島、山口、愛媛の震源近傍の10観測点の強震記録を分析した。経験的グリーン・テンソル法の適用に先立ち、経験的グリーン関数法を用いた断層面上の不均質すべり分布を推定した上で、強震動シミュレーション結果を整理し、国際会議に査読付き論文を発表した。現在、同様の検討を経験的グリーン・テンソル関数法を用いて実施中であり、その結果を待って、経験的グリーン関数法との比較検討を実施する予定である。関連研究のレヴューとともに、2001年兵庫県北部の地震(M5.4)を例題として、周期0.1秒以上の広帯域での地震動シミュレーションにおける経験的グリーン・テンソル法と経験的グリーン・テンソル法との比較を行い、査読付き論文としてまとめ、国際誌にて発表した。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件)
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