研究課題/領域番号 |
16K01324
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
後藤 文彦 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (10261596)
|
研究分担者 |
佐々木 貴信 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (00279514)
野田 龍 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (00626955)
|
研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
|
キーワード | オンサイト木橋 / プレストレス木箱桁橋 / 豪雪地帯 / 登山道 / 緊急仮設橋 / 応急橋 |
研究実績の概要 |
応急橋開発チームは、合板タイプから鋼板タイプにアップグレードされたものの想定外の雪荷重の影響により、継手部に変形を生じた秋田県森吉町のオンサイト木橋について、補修方法を検討するとともに、16m級のより長スパンにも対応できる鋼部材の開発を行った。旧タイプでは、主に鋼板部の局部座屈防止の目的で、鋼板上下縁部に山型鋼を添えて補剛していたが、これは、継手部では連結されないため、桁の補剛には十分な効果を発揮できない。そこで、鋼板の縁部を折り曲げたチャネル型にすることによって、山形鋼を廃止して構造を単純化し、フランジ部もボルト接合により連結して桁断面の剛性を確保できる構造を提案した。こうした研究成果が採用され、青森県深浦町にある東北電力(株)が保有する大池第一発電所の管理橋や、秋田県湯沢市にある虎毛山の歩道橋などへの適用が計画された。 構造検証チームは、応急橋開発チームが提案したチャネル材型の鋼部材を用いた場合の剛性等についても、数値解析による検討を行った。特に過大な雪荷重が載荷された場合、部材の寸法や形状ごとに生じる可能性のある局部座屈を積雪深に換算して図表化し、現実的な積雪深ではほぼ局部座屈は生じないことを確認した。 現地対応チームは、これまで秋田県内の豪雪山間部(森吉山、太平山)に施工してきた旧タイプのオンサイト木橋の積雪による影響を、定点カメラの回収データからより正確に推定するためのカメラ設置方法等について検討した。また、長スパン化し、継手部が増えた場合の現地での施工性について検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は豪雪による雪荷重を受けた際、これまでの旧タイプのオンサイト木橋での弱点であった継手部の改良案を検討し、平成29年度には既設タイプの補剛方法や、長い架設スパンにも対応できる新形式を提案した。そうした研究成果が採用され、平成30年度には青森県深浦町にある東北電力(株)が保有する大池第一発電所の管理橋などへの適用が計画されている。これらの橋梁は、従来タイプよりもスパンや幅員が大きく、そこに雪荷重を受けるため、従来タイプよりも桁高を増やし、チャネル材型のフランジ部を有する鋼部材でより高い剛性を確保する設計案を提案した。継手部は、フランジ部もボルト接合することで、断面全体の剛性が確保できるようにしている。また、従来タイプとは形状が変わってきているため、局部座屈の検討も必要になる。そこで、スパン、桁高、三角孔の大きさ、対傾構の有無等のパラメータに対して、各部が局部座屈する荷重を座屈積雪深に換算して図表化し、現実的な積雪深では、ほぼ局部座屈は起きないことも確認した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度には、秋田県森吉町に架設された旧タイプのオンサイト木橋の継手部の補剛や、青森県深浦町にある東北電力(株)が保有する大池第一発電所の管理橋などへの適用が計画されているが、従来タイプとは構造が変わり、継ぎ手部もフランジを設けた新しい構造になっているため、こうした新たな構造詳細部について、応力状態等を数値計算により評価する。新たな構造詳細部の局部座屈の可能性については、平成29年度に数値モデル化して解析することに成功しているので、同様の手法でボルト接合継ぎ手部の応力状態についてもその挙動を把握する。大池タイプは、従来タイプよりもスパンが長くなり、継ぎ手も6箇所に増えているため、現場での施工性の検討も行う。
|