研究課題/領域番号 |
16K01330
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
三輪 昌史 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (40283957)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 強風下での飛行 / 防水仕様 / ティルト機構 / 推力偏向 |
研究実績の概要 |
機体構造が工の字の形状をした4発型マルチコプタにおいて、プロペラローター自体を傾斜させるティルト機構を追加し、プロペラロータによる推力を水平方向に偏向させることで、機体を傾斜させることなく水平移動が可能な機体を開発した。防水については、プロペラローたーのモータ、ESC、ティルト機構のサーボモータは防水仕様のものを採用している。 まず、プロペラロータを機体の前後方向に傾斜させることができる1軸のティルト機構を備えた機体を試作した。プロペラロータは直径18インチのものを使用した。姿勢制御系にはオープンソースのArducopter3.4.6をベースにティルト時の姿勢制御を実装し、またティルト機構の駆動のための駆動回路を追加したものを開発した。また、試験的に機体の前方方向からの風速を計測し、それに応じて自動的にプロペラロータを傾斜させ、自動的に風に対抗する制御系を組みこんだ。機体の制御は、通常のマルチコプタと同様に推力差動で機体を傾斜させて移動する方法と、姿勢制御系への目標値を0度(水平)とし、推力差動で機体姿勢を維持しながら、ティルト機構により推力の水平方向成分を発揮して移動する方法の二つを用意した。また、ヨー軸の制御においては、左右のプロペラロータの傾きを差動させることで、通常のプロペラローターの回転差動による反トルクを利用するより応答がよく、機体姿勢が安定する制御が行えた。試作した機体は、NHKの番組“超絶スゴ技”のなかで大型ファンによる風速20m/sの強風下での飛行を行い、風に逆らっての飛行に成功した。 次に、ティルト機構を2軸に拡張し、前後左右方向の移動を行う機体を試作した。この移動も機体を大きく傾けることなく実施できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
強風時の飛行を実現するために、プロペラローターのティルト機構による推力偏向技術を実装し、強風下での飛行実験での検証が行えた。その結果、ティルト機構は強風下での飛行に有効であることが確認できた。このティルト機構を2軸に拡張し、前後左右の機動にも使用できることが確認できた。また、前方からの風限定であるが、風速に応じて自動的にティルトさせる制御を構成し、風に対抗さえることに成功した。このように、強風下での飛行については順調に進んでいる。 一方、雨天時の飛行のための対策としては、プロペラロータのモータ、ESC、ティルト機構のサーボモータについては防水仕様のものを選定した。その他バッテリーや制御装置については、一か所に集約した構造とし、カバーを取り付けることで防水仕様とすることにした。今後、雨天時に試験飛行を行い、性能を評価する。
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今後の研究の推進方策 |
強風下での安定した飛行と、雨天時の飛行を実現するため、以下の項目について研究を推進する。 1)機体に対する風向・風速を計測し、GPSによる位置情報と合わせて、風の抗力に自動的に対抗し位置制御及び飛行制御を実現する推力偏向制御系 2)機体全体を防水仕様にし、実際に雨天時に飛行を行い、評価を行う。 また、機体全体のガード構造を改良する。具体的にはコーナーや側面パイプ構造にローラを取り付け、障害物(壁面等)との接触時に衝撃を緩和することを目指す。また、積極的にローラーを障害物に接触させ、回転させることで障害物に沿った移動を実現する。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月購入分の支払いが4月になったため。
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