研究課題/領域番号 |
16K01334
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
樋口 佳樹 日本工業大学, 工学部, 准教授 (80644814)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コンポストトイレ / 糞便 / 在宅避難 / 震災 |
研究実績の概要 |
1.糞便粉砕装置の開発 前年度の糞便粉砕装置を組み込むことを想定し、身近な材料を用い、安い費用で、しかも自作が可能な震災時の在宅避難用のコンポストトイレを試作した。市販品の小型コンポストトイレは、一般に20万程度となり、在宅避難用のトイレとしては高価である。本提案のコンポストトイレは、要らなくなった毛布を断熱材として使用すること、市販のゴミ箱を代用することなどで、3万円程度で導入可能である。今後は、試作品の性能検証を進める。 2.太陽熱暖房による冬期堆肥化性能の向上 前年度の予備実験を踏まえて、実際に集熱パネルを設置し、冬期の堆肥化槽の保温実験を行った。結果としては、集熱ボックスから堆肥化槽までの経路で、若干の熱損失があり、シミュレーションで予測したほどの効果は得られなかった。今後は、経路からの熱の流出を減らす改善を行い、引き続き実験を進める予定としている。 3.ソーラーチムニーによる堆肥化槽内の自然換気システムの導入 夏期と冬期における自然換気時と強制換気時の換気量について、詳細に実験を行った。結果として、自然換気においても十分な換気量が得られていることを確認できた。しかし、必要換気量に対して、換気量が予想よりも多くなっており、堆肥化槽内の温度を低下させる恐れがあることも判明した。したがって、今後は、煙突を短くするなどの工夫を行い、自然換気時の換気量をより減らす取組みを進める予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
糞便粉砕装置を含めた在宅避難のためのコンポストトイレの提案は、概ね順調に進展しているが、太陽熱暖房による冬期堆肥化性能の向上については、前年度のシミュレーションによる予測よりも、太陽熱による堆肥の保温効果が小さい結果となっており、実験システムに若干の改善が必要となっているため、やや遅れている。熱の損失部位などは明らかになっており、早々にシステム改善をして、実験を進めていく予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、在宅避難用のコンポストトイレについては、現場への試験導入を検討している。実際に第3者に利用してもらい、堆肥化性能だけでなく使い勝手等についても検証を進める。太陽熱集熱による保温システムについては、大学内の実験棟にて改善し、試作の精度向上を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行した。若干の遅れはあるが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初の予定通りの計画を進めていく。
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