本研究では細胞張力や細胞膜流動性が炎症性刺激に対する応答に及ぼす影響を検討した.剛性を変えたPDMS製マイクロピラーデバイス上でIL-1b刺激を3日間与えたウサギアキレス腱由来腱細胞ついてコラーゲン分解酵素MMP-1の遺伝子発現を調べた.低剛性基板の腱細胞ほど同一濃度のIL-1bに対するMMP-1発現量が高いことがわかり,また,細胞膜流動性は低いことが示された.低剛性基板に播種された腱細胞は細胞張力が低下し細胞膜上のサイトカイン受容体等の膜タンパク質の空間密度が上昇し,膜の流動性が低下する.これによって受容体同士が凝集し,同じ濃度のIL-1b刺激に対しての応答性が上昇した機序が示唆された.
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