研究課題/領域番号 |
16K01353
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三浦 重徳 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (70511244)
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研究分担者 |
森本 雄矢 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (60739233)
根岸 みどり (加藤みどり) 武蔵野大学, 付置研究所, 助教 (30300750)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 微絨毛 / TRPV6 / メカノリスポンス / 流体せん断力 / 生体機能チップ |
研究実績の概要 |
申請者らは、ヒト胎盤バリアを模倣した生体機能チップを用いて、胎盤絨毛上皮細胞が流体せん断力に応答して微絨毛を伸長することを見出し、そのような力学刺激応答にはカルシウムイオンチャネルTRPV6が関与していることをこれまでに報告してきた。本年度は、生体内における微絨毛形成を力学刺激及びTRPV6の活性化といった観点から解析するために、CRISPR/Cas9を用いたTRPV6ノックアウトマウスの作製に取り組んだ。哺乳類では稀であるが、TRPV6は配列上アノテーションされる翻訳開始コドンAUG(+1)よりも120塩基上流のnon-AUG配列(ACG)から翻訳されることが報告されている。そこで、推定される翻訳開始点(-120)のすぐ下流に存在する2つのCRISPR/Cas9ターゲット配列を選定し、それぞれインジェクションを実施した。その結果、翻訳開始点(-120)直後にストップコドンが挿入されたF1マウス系統合計9系統を取得した。このうち2系統についてホモ接合体マウスを取得し、TRPV6タンパク質の発現をウェスタンブロッティングにより解析したところ、予想に反していずれの系統においても野生型TRPV6の発現が明瞭に検出され、既知の表現型も認められなかった。この原因として、データベース記載の翻訳開始点(-120)だけでなく、canonicalなAUG翻訳開始点(+1)も同時に機能している、または補完的に働いていると推察された。そこで、現在、+110付近にあるCRISPR/Cas9ターゲット配列を選定してインジェクションを再度実施し、引き続き変異体系統の取得を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ゲノム編集を用いたTRPV6ノックアウトマウスの作製は、翻訳開始点がデータベース記載のサイトとは別に存在しており、再度インジェクションを実施することになったが、ほぼ当初の計画通りに進捗している。細胞種によるTRPV6の発現と機能解析はやや遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
TRPV6ノックアウトマウスにおいて、微絨毛形成に異常が認められるかを解析し、表現型と微絨毛形成および細胞の力学刺激応答との関連性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、CRISPR/Cas9を再インジェクションしマウス系統を再度樹立する必要があったため、細胞レベルでの分子生物学的解析に十分な時間を取ることができなかった。この解析に必要な経費は来年度に繰越し、計画通り実施する予定である。
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