研究課題
本申請研究では、マイクロ肝オルガノイドの生体内作製を基軸とした治療応用研究を行う。特に、マイクロファイバー型肝オルガノイドや、肝細胞索様構造をマウス肝不全モデル体内に移植または作製する研究を展開することにより、肝不全病態に対する新しい細胞再生療法の開発を目的とする。申請者のこれまでの肝組織工学研究において、高機能な肝組織作製には、生体肝臓の微細構造ユニットである肝細胞索に類似する細胞配列をなすことが重要課題であることが判明している。また、肝臓機能を高いレベルで発揮する肝組織体の作製には、実質細胞としての肝細胞を用いることに加え、肝臓非実質細胞としての血管内皮細胞やマクロファージを共存させることが重要であることも明らかとなってきちる。このことから、本研究で用いるマイクロ肝オルガノイドも、細胞配列や細胞外マトリックス構成、細胞種配置から肝細胞索類似性を有することを心がけ、肝不全という肝臓移植が唯一の治療選択肢となっている重篤な病態に対して、肝組織作製を新基軸とした細胞再生医療開発を目指した。平成28年度においては、共培養実験において肝機能発現という観点において、肝細胞とマクロファージの共存比率の至適化を行った。平成29年度においては、マウス体内腎被膜下などの部位において、肝細胞とマクロファージを含む非実質細胞が共存する組織体の作製実験を行った。平成30年度においては、致死的肝不全マウスモデルを用い、生体内にマイクロ肝オルガノイドを作製する治療実験を行った。種々の検討を繰り返した結果、マイクロ肝オルガノイド作製という治療アプローチが肝不全に対し治療効果を発揮し得ることを明らかとした。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
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