研究課題/領域番号 |
16K01361
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
弘田 隆省 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (10437741)
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研究分担者 |
山崎 文靖 高知大学, 医学部附属病院, 特任教授 (10243841)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 深部脳刺激 / 起立性低血圧 / 生体制御・治療 / パーキンソン病 / 医用生体工学 |
研究実績の概要 |
これまでわれわれは、重度起立性低血圧治療のため、硬膜外カテーテルを用いた人工圧反射装置を開発してきた。これを発展させ、交感神経路のより上位中枢を電気刺激できないかを検討したところ、パーキンソン病治療における深部脳刺激法を用いた方法を着想し、血圧への反応性を検討した。反応が認められる症例での応答関数を用い、血圧サーボシステムを比例補償係数Kp=1, 積分補償係数Ki=0.01で設計した。しかし、このシステムを組み入れた人工圧受容器反射装置を設計するためには、実際の起立性低血圧の制御ができるかが不明である。そこで、今回、深部脳刺激が起立時の血圧低下を制御可能かどうかの実験的臨床研究を行う。 平成28年度は、1)ランダム脳刺激により血圧反応が認められる症例を抽出し、2)脳刺激の有無による起立負荷時の血圧データの記録を開始した。 【方法】1) on/offのランダム刺激を入力し、刺激信号から血圧までの伝達関数を記述した。これより、ステップ応答関数を算出し、脳電気刺激による血圧反応を評価した。2) 深部脳刺激治療を行っているパーキンソン病患者で30-60度の起立負荷を行い、刺激の有無による血圧低下度を比較する。 【結果】1) 14例(年齢64±12歳、男性7)を対象に、視床下核へのランダム刺激25回を行った。25回中、6回は刺激症状で中止した。得られたデータ19回中13回で血圧への反応を認めた。反応の認められた症例のステップ応答関数では、10秒以内に定常ゲインの90%以上に達し、定常ゲインは0.015±0.013mmHg/Hzであった。2) 20例の患者(年齢68±8歳、男性14, 女性6)で起立負荷を行い血圧の変化を検討した。20例中11例で、収縮期血圧が20mmHg以上の低下を認めた。この11例中1例に深部脳刺激がonの状態での起立による血圧低下とoffでの血圧低下の違いが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
十分な症例数でのデータが蓄積されつつあるが、予測したより血圧反応のある症例が少ない。また、今回までは、ランダム刺激で反応があった症例でのみの検討ではなく、症例の対比ができていない。症例数を増やすとともに、ランダム刺激で変化が認められた症例との対比を要する。また、ランダムチルトでの評価の準備を進めるとともに、症例の選択を考えなければならない。また、刺激強度や刺激周波数は、各患者の症状改善度および刺激時の副作用症状、たとえば、刺激側の痛みなどによって決定されており、患者によってそれぞれ異なる。その電極の刺激状況を変化させるために、刺激時に症状が出る症例を認めたため、刺激部位と刺激強度の検討も必要である。
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今後の研究の推進方策 |
2)を継続し症例数を増やす。刺激がon/offの違いで起立負荷での血圧低下度が変化する症例を抽出し、その背景や刺激状態(電極位置、電圧、ハルス幅、刺激周波数)の検討を行う。 ランダム起立負荷による血圧変化の評価とシステムのゲインファクターの決定を行うための準備をはじめる。より詳細な起立による血圧反応を評価するために、ランダム起立負荷により、ベッドの起立角度から血圧までの伝達関数を記述し評価を行う。ここでの刺激に用いた刺激電圧および頻度を参考に、システムの設計を行う。圧制御中枢はサーボ制御の理論を応用して設計する。サーボコントローラの動作原理としては,比例・積分補償型のネガティブフィードバックを採用する。刺激-血圧応答関数の平均値H2(f)は①で記述したもののゲインファクターを変更して用いる。ステップ状の血圧低下に対する血圧サーボシステムの振る舞いを比例補償係数Kp=0, 1, 2,積分補償係数Ki=0, 0.01, 0.05, 0.1, 0.2の組み合わせでシュミレーションし,血圧サーボシステムがもっとも安定的かつ迅速に血圧低下を代償する係数を決定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析ソフトウェアの購入を遅らせたことと、研究補助員の雇用を遅らせたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度の研究費とあわせ、消耗品費として、データ保存用メディア、接続コネクタ類、連続血圧測定装置改修費用、液性因子解析費用を計上する。人件費・謝金として、前年と同様、研究補助員を1名確保するための経費を計上する。また、調査研究旅費を計上する。
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