研究課題/領域番号 |
16K01366
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
原田 義規 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10381956)
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研究分担者 |
熊本 康昭 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30611727)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ラマン分光法 / 虚血心 |
研究実績の概要 |
虚血性心疾患の外科治療において、心筋バイアビリティ(虚血/梗塞に陥った心筋の回復能)の正確な評価は重要である。本研究では、研究代表者らがこれまで行ってきたラマン散乱光を用いた心臓組織観察技術を基盤に、ラット心を用いて非侵襲かつ包括的に心筋バイアビリティを解析可能な基礎技術の開発を目指す。このため、超急性期(~慢性期)の虚血性心疾患に特徴的なラマンスペクトルの探索を行う。また、得られたラマンスペクトルから散乱分子の同定を行い、ラマンスペクトルの解析に供する。 研究代表者らは、染色を必要としない組織診断法の開発を目指して、振動分光法、特にラマン分光法を用いる手法の提案および開発を行ってきた。ラマン散乱光は、光が物質に当たった際に散乱する、その物質を構成する分子固有の波長をもつ光をいう。つまり、ラマン散乱光を分光することで、その物質の分子構成をスペクトル情報として捉えることができる。したがって、ラマン散乱光を用いることで、非侵襲的に、無標識で生体組織を鑑別できる可能性がある。 本年度は、532nm励起光を用いて、ランゲンドルフ灌流ラット虚血心(超急性期)の心外膜下心筋のラマンスペクトルを得た。還元型シトクロム分子からのラマン散乱光を反映する750および1127cm-1のピーク強度は、虚血負荷後直ちに増加した。750および1127cm-1におけるラマンピーク強度を測定することにより、心筋虚血の早期検出が可能と考えられ、ラマン分光法は無標識で虚血心を評価できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超急性期のラット虚血心のラマンスペクトル等を測定した。
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今後の研究の推進方策 |
1)超急性期のラット虚血心断面のラマンスペクトルを測定する。 2)心筋バイアビリティを検出するスペクトル解析アルゴリズムを開発する。心筋バイアビリティを検出するスペクトル解析アルゴリズムを開発するために、波形解析手法の検討および測定条件の検討を行う。主に、複数のラマンバンドを用いた信号強度比等を適用し、病変を正確に鑑別可能か検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に、超急性期虚血心の分析を行い、その結果を基に学会発表する予定であったが、心室壁内で虚血感受性が異なる可能性が示唆されたため計画を変更し、次年度に心室断面の分析等を行うこととしたため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
このため、心室断面の解析等を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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