研究課題/領域番号 |
16K01369
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
島雄 大介 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (20404907)
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研究分担者 |
佐藤 斉 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (90285057)
砂口 尚輝 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (60536481)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 医用画像 / X線管 / 屈折コントラスト / トモシンセシス |
研究実績の概要 |
初年度において、本研究課題を遂行するにはX線強度大幅に不足していることが判明した。このことから当初の計画を変更し、今年度は反射X線強度を強める方策を立てこれを実行することにした。初年度に使用していた対称反射結晶では入射X線強度をほぼそのままの強度で反射することになる。これに対して、非対称反射結晶では単位面積当たりの入射強度と反射強度を調整することができる。十分なX線強度が確保できる放射光施設にて、手持ちのシリコン製の非対称反射結晶の動作をチェックしたのち、本研究課題で使用する工業用X線装置に導入した。通常、放射光を利用したイメージングではライン状の高強度のX線ビームをこの非対称反射結晶を利用してビームを広げ、単位面積当たりのX線強度は弱まるが2次元視野が得られることを意図して使用している。本研究では、反射X線強度を高めることが求められるため、非対称反射結晶の動作を逆手に取り幅広い入射X線をライン状に集め高強度の単色で高指向性の反射X線を得ることを試みた。Moの2本の特性X線KαとKβのエネルギーはそれぞれ17.4keVと19.6keVで、これらに対するシリコン結晶(220)面でのブラッグ角はそれぞれ10.7°と9.5°である。そのため非対称反射結晶の非対称角が8.9°のものを用いて実験を遂行した。これにより対称反射結晶を用いた時よりも強度の高いKα線とKβ線のライン状の単色ビームを取り出すことができた。ただし、これらのX線ビームに対しても、第2結晶であるアナライザ結晶後の反射X線は、現在保持しているPINフォトダイオードX線検出器やCdTlのX線検出器では感度不足で検出できなかった。次年度は、さらに反射X線強度を高める方策やX線検出器に高感度のX線CCDカメラを利用する等の方策を練る必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定では、初年度に「工業用X線発生装置によるX線光学系と撮影システムの構築」のもと、今年度は「撮影システムの評価用ファントムの作製とシステムの最適化」を進めることになっていたが、反射X線強度が想定より格段に低く今年度は初年度に引き続き反射X線強を高めることに重点を置くように方策を転向した。新たに非対称反射結晶を導入して反射X線強度の改善に努め、対称反射結晶使用時よりも高強度の反射X線を得られたが、屈折イメージングに向けてはまだX線の強度不足は解決していないのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が最終年度となるが、屈折イメージングにつなげるには依然として反射X線強度が足りない。今後もこの点の解決策を追求する必要がある。今後は、ターゲットをモリブデンMoからタングステンWに変更することにより、高管電圧による発生X線強度の増強を図るとともに、より高エネルギーのWのKα特性X線を利用することに方針を切り替える。また、これとともにX線検出器もイメージングにそのまま繋げられる高感度のX線CCDカメラの導入を思案することで問題の解決を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) イメージング用のX線CCDカメラ制御用のノートPCの整備費用を計上していたが、分担研究者のものを拝借することができたため、その分が次年度使用額として生じた。 (使用計画) ノートPCの整備が不要となったため、これにより生じた次年度使用額は実験施設への旅費に振り替えて実験回数を増やすことにより当該研究の遂行に努めることとする。
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