研究課題
本研究課題の最終年度となる平成30年度は、初年度から問題となっている反射X線強度への対応行い、当初の目標である屈折コントラスト-トモシンセシスの実現には達しないが工業用X線発生装置を利用したイメージングへの道筋をつけることを課題とした。昨年度までに使用してきた非対称角8.9°の非対称反射結晶により、Mo(モリブデン)ターゲットのX線管から取り出した縦長のライン状のMoの特性X線のイメージング利用への可否を検討した。ここで、本来ならば、さらに第2結晶となるアナライザ結晶からの反射X線でイメージングを行うことが目的となるのだが、X線強度不足が依然として解決していないため、非対称反射結晶直後に被写体とX線画像検出器(高感度設定としたX線CCDカメラ、または臨床用イメージングプレート)を設置して、乳がん病理標本とボールペンの芯それぞれを被写体として吸収コントラスト像をラインスキャンによる撮影を行うこととした。ここで得られたラインスキャンデータを画像化したところ吸収コントラストが高いはずのボールペンの芯ですら像を結ばなかった。今回利用した工業用X線発生装置は大強度で長時間照射が可能であることを選択の理由としたが、これを実現するために焦点サイズは縦5.5mmで横1.0mmとイメージングには不向きであるほどの大焦点であることが判明した。屈折コントラストを得るためには微小焦点サイズのX線管が求められるが、本研究課題期間中に理想的な工業用X線発生装置を新たに導入することは不可能であるため、同一の工業用X線発生装置にてターゲットをW(タングステン)に変更してWの特性X線の反射強度を調査して今後の見通しを検討することとした。その結果、Wと対称反射結晶の組合せにより、Moと対称反射結晶の組合せの270倍、Moと非対称反射結晶の組合せの4.5倍の反射強度が得られることが分かった。
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