研究課題/領域番号 |
16K01371
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
中村 俊康 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (70265859)
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研究分担者 |
多田 充徳 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究グループ長 (70392628)
名倉 武雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (90306746)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バイオメカニクス / 手内筋 / 麻痺手 / 指機能再建 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究ではヒトの手指巧緻性を司る手内筋の麻痺およびその再建術が指の運動および手指の出力に与える影響を明らかにする目的とした。具体的にはわれわれが予備実験で明らかにした手内筋麻痺によって生じる指尖軌跡の狭小化とMP関節不安定性を解消するのにもっともすぐれた再建法は、既存の代表的な再建法として知られているFowler法(EIP移行)、four tail Fowler法(ECRL移行)、ZancolliのLasso法(FDSをA1 pulleyに腱固定)、Lasso法Omer変法(FDSをA2 pulleyに腱固定)の4つの方法の内どれであるか、喪失した機能の内、指先軌跡、指先出力、MP関節安定化のどの領域で改善を見せるかについて生体工学的に検討する。対象指は母指とともにつまみ、把持動作に使用頻度の高い示指を中心に、必要に応じて中指も含めて検討を行った。平成28年度には自家考案の複数腱同時駆動装置を改良し、示指、中指の同時制御が可能となったが、今年度は未固定屍体6体6示指に対してZancolliのLasso原法とOmer変法を行い、外在筋を腱駆動装置のサーボモータで一定速度で引きつつ、手内筋にかけた重錘の負荷を変化させながら指先軌跡の変化と指先出力の計測を行った。結果はどちらの方法も指尖軌跡の狭小化を改善し、指先軌跡は正常に近づくこと、Omer変法の方がMP関節の屈曲が遅れることで、より大きな指先軌跡を描くことがわかった。一方、MP関節の安定化効果は両再建法ともにほとんど認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
再建法は2法をシミュレーションし、3次元ポリゴンデータへの落とし込みも終了したため、おおむね予定通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度のシミュレーションの結果を踏まえ、残りの再建法であるFowler法とfour tail Fowler法の再建手術を未固定屍体6手に行い、指尖運動、指先力およびMP関節安定化効果を計測する。各筋の動かし方はZancolliのLasso法、Omer変法と同様に外在筋をサーボモータで引き、手内筋には重錘による荷重を変化させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果と英文校正料と購入したプログラムソフトのクレジットカード決済が次年度にずれ込んだためである。次年度の研究費と合わせて消耗品購入に充てる予定である。 (使用計画)平成30年度の計画として屍体標本とシミュレータも用いて残るFowler法とfour tail Fowler法の手術シミュレーションを行う予定である。また、アメリカ手外科会議での成果発表旅費に使用する。
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