研究課題
我々がFRETプローブSMARTは計画的ネクローシスの誘導によってリン酸化され活性型となったRIPK3をモニターするプローブとしてデザインでされている。そのことを確認するためRIPK3の発現をsiRNAによってノックダウンしたL929細胞において、計画的ネクローシス誘導後のFRET解析を行った。その結果、計画的ネクローシスは起こらずFRET現象も起こらなかった。この結果は前年度までのRIPK3のキナーゼ活性の阻害剤を用いた実験結果と一致するものであった。さらにRIPK3の基質であり計画的ネクローシス実行分子であるMLKLの発現をsiRNAによってノックダウンしたところ、RIPK3は発現しているにも関わらず、FRETは起こらなかった。MLKLのノックアウトマウスから調製したMEFにおいてもFRETは起こらなかったため、SMARTが起こすFRET現象にはMLKLの発現が必要であることが示唆された。そこでこの原因を明らかにするために活性化RIPK3をRIPK3のリン酸化抗体により検出した。その結果MLKLをノックアウトしたMEFではRIPK3の発現レベルは野生型のMEFのものと変わらないものの、計画的ネクローシス誘導後のリン酸化レベルが著しく低下し、かつ遅延していることが明らかとなった。このことからMLKLの発現がRIPK3活性化の効率に影響していることが明らかとなった。核タンパク質であるHMGB1はネクローシスにより細胞外に漏出し、周囲の細胞に炎症を惹起すると考えられている。HMGB1の計画的ネクローシス誘導後の動態を明らかにするためLCI-SシステムによってイメージングしたところHMGB1の細胞外への放出の速度がFRETの変化の速度とよく相関していることが明らかとなった。この結果からRIPK3活性によってHMGB1放出の様式が制御されていることが明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Cell Stress
巻: 3 ページ: 66~69
10.15698/cst2019.02.177
Nature Communications
巻: 9 ページ: 4457
10.1038/s41467-018-06985-6