研究課題/領域番号 |
16K01380
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研究機関 | 湘南工科大学 |
研究代表者 |
森 貴彦 湘南工科大学, 工学部, 准教授 (20332025)
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研究分担者 |
岩瀬 将美 東京電機大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50339074)
渡邉 尚彦 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (50550034)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 生体情報・計測 |
研究実績の概要 |
申請者らのこれまでの研究では,誤認識や誤動作など技術的問題が多くある筋電計測技術に対して,薄膜センサを用いた皮膚変形計測技術の確立,それを利用した電動義手開発,臨床実験を行ってきた.しかし,残存部位が少ない上腕欠損者は複雑な形状の肩関節を利用しなければならない為,本計測技術による計測が困難であった.そこで,本研究では皮下組織が複雑な部位でも皮膚変形計測が確実にできる複数の皮膚センサを組み合わせた膜面皮膚センサを学術的アプローチに基づいて生成する.構造の数理解析,曲面展開による特徴量抽出,肩関節運動と特徴量の間の機械学習を行って,皮膚変形計測技術を確立することを目的としている. そこで平成28年度は,長短2種類の皮膚センサ4~6枚で構成される膜面皮膚センサ構造の等張力曲面数理解析を実施し,生体曲面被覆可能な典型的な組み合わせの選択,膜面皮膚センサの製作,計測システムの構築と肩関節動作時の実測を行う計画であった.精度が高く安定して新たな計測可能なシステムの構築,および,それに基づく膜面皮膚センサ構造の選択を実施することができた. 新たな計測可能なシステムにおいては,計測アンプ(差動増幅器)を従来の2個から3個へ増やしたことで増幅率を飛躍的に向上を実現させることができた.また,DA変換器を従来の1個から2個へ増やしたことで増幅率の向上に伴って飽和現象を完全に抑制するためにアナログ素子の基準電圧を正確に制御がすることが可能となり,安定な計測が可能になった.また,膜面皮膚センサ構造の選択においては,皮膚変形の皮膚センサに対する伝搬影響を見るため,皮膚センサを一定面積内に規則的に配置することを決定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は,長短2種類の皮膚センサ4~6枚で構成される膜面皮膚センサ構造の等張力曲面数理解析を実施し,生体曲面被覆可能な典型的な組み合わせの選択,膜面皮膚センサの製作,計測システムの構築と肩関節動作時の実測を行う計画に従い,精度が高く安定して新たな計測可能なシステムの構築,および,それに基づく膜面皮膚センサ構造の選択を実施することができたが,数理解析と肩関節動作の実測を実施するに至らなかった.その理由として,膜面皮膚センサ構造の決定するためには精度の高く安定した計測システムの構築を用いて,複数のセンサ出力を収集し表示するシステムが必要であることが事前実験を重ねて判明したためである.これまでに製作した計測システムに対して,精度が高く安定した新しい計測システムを構築するため,設計と開発に時間を要した.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に複数の皮膚センサからなる膜面皮膚センサの出力値を精度が高く安定して計測可能なシステムを構築することができた.これを受けて,遅れている数理解析や組み合わせの選択を研究分担者と分担して早急に進める.数理解析は主に研究分担者が担い,組み合わせの選択は主に研究代表者が担う.数理解析実施が終わり次第,膜面皮膚センサ構造を確定させ,平成29年度の計画にある曲面展開による特徴量抽出を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度研究代表者の消耗品費として計上した「計測回路設計・製作費」「センサ製作費」のうち,「センサ製作費」が計画通り使用できなかった.その理由として,当初予定になかった新しい計測システムを開発するにあたり慎重に設計したため,「計測回路設計・製作費」に時間を要し,センサ設計や打ち合わせのための時間が不足し,未使用分が残ったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に設計・開発した新たな計測システムを用いることで,複数の皮膚センサ出力値を同時に精度が高く安定的に計測が可能になるため,膜面皮膚センサの構造を確定する準備が整っている.その準備のために皮膚センサを多く必要とするため,未使用分の消耗品費を適正に使用する予定である.
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