研究課題/領域番号 |
16K01384
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00210279)
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研究分担者 |
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (10152365)
仲本 博 川崎医科大学, 医学部, 助教 (10299183)
佐々木 環 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30187124)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 冠微小血管 / 側副血行路 / 冠血管予備能 / 心筋虚血 / 内皮由来過分極 / 過酸化水素 |
研究実績の概要 |
近赤外線蛍光CMOSカメラ生体顕微鏡による虚血時冠微小血管側副血行路の血流改善評価 1. 正常犬(C)群と糖尿病犬(DM)群の虚血部(左冠動脈前下行枝LAD)と非虚血部(回旋枝)間の側副血行路の蛍光(ICG冠注)観察を行い、冠血管予備能評価として両群の反応性充血(RH:LAD中枢側20秒間閉塞後解放)の評価を行った。C群のRH時有意な冠微小血管拡張を認め、その反応は、DM群において、有意低下を認めた。新たに作成した全長18cm、直径5.4mmの先端レンズを用いる事によって、操作性が改善した。 2. 虚血冠微小側副血行路に対する内皮由来過分極/過酸化水素(EDH/H2O2)の評価を行うために、EDH阻害薬投与前後の虚血(LAD90分閉塞)時、冠微小血管側副血行路に内皮由来拡張物質(ブラジキニン、Br)を投与し、評価を行った。C群のEDH/H2O2の作用する細動脈(<100μm)において、Brにより有意拡張を認めたが、その反応はEDH阻害薬により、有意低下を認めた。DM群において、虚血前の細動脈拡張は、有意低下を認めなかったが、小動脈(>100μm)拡張は、有意に低下した。虚血後、細動脈拡張は、C群に比べ、有意に低下した。 3. マイクロスフェアを左心耳から注入し、虚血時側副血行路において心内膜側と心外膜側に分けて単位心筋血流量を両群で評価した。C群では、Brにより心内・外膜側共に有意血流増加を認めたが、その反応はEDH阻害薬により、有意に低下した。DM群では、虚血前のBrによりC群に比べ心内・外膜側共に血流の減少傾向を認めた。虚血後、C群に比べ、心内膜側で有意低下を認めた。 以上より、近赤外線蛍光顕微鏡により、糖尿病性冠微小側副細動脈において、小動脈内皮障害に対し、EDH/H2O2が代償機能を持つことが窺われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近赤外線蛍光顕微鏡と蛍光試薬インドシアニングリーンを冠動脈内に投与することにより、正常犬群と糖尿病犬群における冠微小側副血行路の冠血管予備能評価として両群の反応性充血時の血管拡張反応を比較した。 また、虚血冠微小側副血行路に対する内皮由来過分極/過酸化水素(EDH/H2O2)の評価を行うために、EDH阻害薬投与前後の虚血(左冠動脈前下行枝中枢側90分閉塞)時、冠微小血管側副血行路に内皮由来拡張物質(ブラジキニン)を投与し、評価を行った。 同様にマイクロスフェアを左心耳から注入し、虚血時側副血行路において心内膜側と心外膜側に分けて単位心筋血流量を両群で評価した。 糖尿病犬群は、正常犬群に比べ冠微小側副血行路の冠血管予備能の低下を認めた。虚血時には、心外膜側に比べ心内膜側における単位心筋血流量の低下を認めた事から、小動脈におけるNO合成障害が起こり、代償機構としてEDH/H2O2が細動脈において機能することが明らかとなった。次年度は、EDRFとしてのH2O2 とNO産生ルート評価及び内皮を介す血管拡張薬による血流改善評価を行う血管拡張薬による血流改善評価を行う。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、in vivoの実験を行ってきたが、摘出血管を用いて、in vivoで作用していた内皮由来過分極/過酸化水素やNOをwestern blot法とELISA法により定量化することにより、実際に各因子が増減するか否かについて、評価する。 また、血管内皮を介し心筋保護作用を持つ血管拡張薬(ACE阻害薬、ARB)投与時に、EDH/H2O2及びNOの作用を持つか否かについて、近赤外線蛍光顕微鏡による血管拡張反応及びwestern blot法とELISA法による血流調節因子の定量評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月後半に日本循環器学会と日本微小循環器学会で学会発表があったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
4月に日本循環器学会と日本微小循環器学会の旅費として使用予定。
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