中途失明を起こす網膜疾患の原因となる新生血管因子(VEGF)の産生を阻害する核酸(siRNA)を低侵襲的な点眼投与で網膜へ送達し得るナノキャリアの設計を目的とした。網膜色素上皮細胞(RPE)をマウスに免疫し、種交叉性かつ内在化特性を示すモノクローナル抗体を作製した。これを多機能性ペプチドや脂質ナノ粒子に修飾したナノキャリアは、脈絡膜からRPEへの移行が期待される微小粒子径を示し、ラットRPE細胞への高い取込み効率、抗VEGF-siRNAの搭載により顕著なVEGF産生抑制効果を示した。また、点眼後のラット網膜において高い集積性がみられ、点眼による網膜への核酸送達キャリアとしての有用性を示唆した。
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