研究課題/領域番号 |
16K01400
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
平野 義明 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (80247874)
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研究分担者 |
大槻 周平 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20589840)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 細胞集合体 / 足場 / ペプチドハイドロゲル / 自己組織化 / RGDS / 軟骨細胞 / 骨芽細胞 / 分化誘導 |
研究実績の概要 |
細胞集合体誘導ペプチドと自己組織化によるペプチドハイドロゲルを組み合わせることにより、3次元組織体の構築を目指すことが本研究の目的である。28年度は、下記の2点について研究を遂行した。 1.細胞集合体とペプチドハイドロゲル足場の設計条件の検討: βーヘアピンペプチドとβーストランドペプチドを5種類設計した。そのペプチドに細胞接着活性を有するRGDS配列を導入しすることによって、ゲル内に細胞を保持することができた。RGDSのコントロール配列を導入したペプチドは、ゲル物性には両者とも大きな差が認められなかったが、細胞の保持能力には優位に劣った。 2.細胞集合体体埋入ペプチドハイドロゲル足場の機能評価: 肝細胞、軟骨細胞、間葉系幹細胞をゲル内に埋入し、それぞれの活性を評価した。肝細胞はアルブミン産出活性を、軟骨はGAG産出活性をそれぞれ評価したところ、両者とも細胞集合体を形成した方が2次元培養より顕著に優位な活性が高くなった。これは、細胞集合体を形成することにより、細胞間のコミュニケーションが向上しそれに伴い活性も高くなったと考えられる。間葉系幹細胞をゲル内に埋入し、骨へ分化誘導した後にALP活性を測定した結果、先と同様細胞集合体を形成した方が活性が高くなった。 細胞培養用培地を用いてゲルを形成するとin vivo実験では細胞毒性が懸念されるため、関節液や体液成分に近い生理食塩水から少し濃い食塩濃度でのゲル化を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.細胞集合体とペプチドハイドロゲル足場の設計条件の検討、2.細胞集合体体埋入ペプチドハイドロゲル足場の機能評価 の2点について研究を遂行した。 1.に関しては、申請書の通り分子設計したハイドロゲル内で細胞を保持できることが明らかになった。2.については、in vitroでの足場の機能評価は問題がないことが分かった。しかしながら、細胞培養用培地を用いてゲルを形成すると、in vivo実験では不都合が生じる可能性が指摘されて改良に取りかかった。 以上のように、当初の計画通り実験を遂行し概ね良好な結果が得られた。また、次年度以降の研究の課題も明らかになった。 よって概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は平成28年度の研究成果を基に、当初の研究計画通りに研究を遂行する予定である。 1.細胞集合体埋入ペプチドハイドロゲル足場の機能評価 軟骨・骨芽細胞など複数の細胞をゲル内に埋入し、細胞の住み分けが可能かを評価する。 2.幹細胞集合体体埋入ペプチドハイドロゲル足場内での分化の影響 28年度の研究成果のうち、間葉系幹細胞の分化について、空間的は位置を考慮した細胞の挙動を解析検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度後半からin vivo実験の基礎検討を共同研究先と実施する予定である。そのため次年度へ予算の一部を繰り越すこととした。また、ペプチドハイドロゲル用βーヘアピンペプチドの合成手法の確立が予定より、早く達成できたためHPLC精製用溶媒の使用量を節約できた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降、in vivo実験用の試薬・器具等の購入に充足する。 また、ペプチドハイドロゲル合成用試薬の購入に充てる。
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