今後の研究の推進方策 |
マウス由来マクロファージであるRAW264.7を用い、免疫反応において中心的役割を果たす転写因子である核内因子-kB (NF-kB) の活性を測定することで、PS含有ポリマーの抗炎症活性を評価する。マクロファージとPSポリマーを24時間共培養した後、炎症性刺激としてlipopolysaccharide (LPS) を加え、24時間後にNF-kB活性を測定する。同様に、炎症性サイトカイン(TNF-b,IL-6, IL-1b etc.)および抗炎症性サイトカイン(IL-10,TGF-b etc.)のレベルをEnzyme-Linked Immuno Sorbent Assay (ELISA)および電気泳動により測定する。コントロールとして、アポトーシス細胞においても同様の評価を行う。PSポリマーが、目的細胞表面のPSレセプターを介したシグナルによって、炎症に関わる転写因子を制御しているかについてウエスタンブロッティングにより確認する。具体的には、炎症性サイトカインの転写因子であるNF-kBの活性化に関与するIkBのリン酸化について検討を行う。また、本提案プロジェクトのゴールは、PSポリマーによる抗アルツハイマー性評価であるが、その実験を見据えて、脳免疫細胞MG-6(ミクログリア状細胞)にアミロイドb刺激を加え、細胞間伝達物質の産生量から抗アルツハイマー性を評価する。細胞間伝達物質はベータ型変異増殖因子(TGF-bアルツハイマー抑制)と腫瘍壊死因子a(TNF-a:アルツハイマー促進)の産生量を測定する。また、神経細胞(PC-12)へ与える毒性をMTTアッセイによって評価する。以上の実験を踏まえ、低毒性かつアルツハイマー治癒能の高いPSポリマーの最適形態を探索する。
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