研究課題
研究期間内で、NMR/MRIマグネット内に誘導される遮蔽電流が作る不正磁場を低減する方法として、インサート・コイルを上下に動かす手法を検討した。従来、遮蔽電流が作る磁場の影響を小さくするために、交流磁場を印加するField Shaking手法が提案されてきた。しかし、この手法では、交流磁場を発生させるための専用マグネットが必要となり、実用化には難しさが残っていた。さらに、第二世代高温超伝導体(REBCO)を使用した場合には、遮蔽磁場効果が大きいことから、従来のField Shaking手法は限定的な適応にとどまることが想定されていた。そこで、REBCOコイルを励磁後に物理的に移動させることで、遮蔽電流の作る不正磁場を減衰させることを試みた。その結果、十分な不正磁場軽減効果が確認できた。さらに、当初計画とは異なることが、不正磁場を発生される遮蔽電流の簡易計算法を提案してきた。これまで、遮蔽電流の解析には、有限要素法に、薄膜近似法を併用し、さらに多重極展開法などで使用メモリ量の低減化を図らなければならなかった。このよう高度なシミュレーション手法は、世界でも数人の研究者しか実施できず、世界的に検討されている遮蔽電流磁場のシミング問題の解決を妨げていた。そこで、次世代MRI/NMRマグネットのシミングに貢献するために、等価回路による簡易な遮蔽電流磁場計算法を提案した。そして、従来の有限要素法に関しても、高度化させ、これまで薄膜近似であったのを、厚みの効果を考慮させたシミュレーション・ツールを完成させた。これにより、高精度な計算と簡易的な計算の異なる2種類を、研究者に提供できるようになり、用途に応じた対応が可能となった。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 6件)
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
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