研究課題/領域番号 |
16K01404
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
片山 泰章 岩手大学, 農学部, 准教授 (70436054)
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研究分担者 |
佐藤 洋 岩手大学, 農学部, 教授 (00726606)
宮崎 雅雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (20392144)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 慢性腎臓病 / L-FABP / 虚血再灌流傷害 |
研究実績の概要 |
本年度は、ネコL型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)と交差性が確認されている抗ヒトL-FABP抗体を用いてネコL-FABPの測定を行った。測定は酵素免疫測定法(ELISA)(ヒト型L-FABP測定キット、シミック(株)、東京)を用いて添付の文書通りに実施した。測定値は尿中クレアチニン値で補正した。 本年度は国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)のネコの慢性腎臓病の基準を満たさない血清クレアチニン値が1.6mg/dL以下の健常ネコ100頭を対象としてL-FABPの参照値を得ることを目的とした。対象動物は学内で飼育している実験ネコおよび協力動物病院に依頼し必要頭数を確保する。現時点では80頭が確保されており、そのうち21頭でL-FABPが検査済みである。59頭は現在測定中である。21症例のL-FABP値の範囲は0.0~4.1ug/gCr、平均値±標準偏差は1.6±1.3ug/gCrであった。血清クレアチニン値の範囲は0.50~1.57mg/dL、平均値±標準偏差は0.92±0.35mg/dLであった。尿蛋白クレアチニン値は測定可能であった16頭ではその範囲は0.03~1.02、平均値±標準偏差は0.26±0.3であった。また、尿比重は測定可能であった14頭ではその範囲は1.028~1.066、平均値±標準偏差は1.042±0.02であった。 また、実験健常雄ネコ5頭を用いて、日内変動の尿中L-FABP値への影響を検証している。給餌後の観察期間は12時間とした。日内変動の影響に関する検証では午前と午後に膀胱穿刺により採尿した。尿サンプルは現在測定中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
96ウェルELISA測定キットを用いている関係でL-FABP値の測定が遅れている。サンプルは今後も継続的に採取して参照値をより正確なものにしていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は腎毒性物質として古くから知られているアミノグリコシド系抗生物質であるゲンタマイシンを用いてCKDモデルの作出を試みる。ゲンタマイシンはネコにおいて蓄積投与量が400~500mg/kgで腎傷害を実験的に誘発できることが知られている。腎バイオプシーによる組織検査(免疫染色を含む)を経時的に実施することにより腎臓の病理組織学的変化を評価する。
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