研究課題/領域番号 |
16K01408
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
篠原 修二 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (10325897)
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研究分担者 |
光吉 俊二 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (30570262)
中村 光晃 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (30772975)
徳野 慎一 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (40508339)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 音声分析 / 病態 / 多言語検証 |
研究実績の概要 |
本年度は、2016年6月25日から7月5日にかけてルーマニアを訪問し、ブカレストのキャロルダビラ医科大学、ブラショフのトランシルバニア大学や刑務所、ピテシティ大学などを訪問し、実験の協力要請、および実験打ち合わせを行った。それと並行し、研究協力者であるPST株式会社の桐田氏、大宮氏、萩原氏の協力を得て、音声、うつ病スクリーニングのための自記式アンケートデータ、および年齢や性別、既往歴などの基本情報を収集するためのスマートフォンアプリを作成した。その後2016年11月15日から11月29日にかけ、ルーマニアのピテシティ大学(教員1名、学生アシスタント4名)の協力を得て、データ収集実験を行った。被験者は約110名であり、ルーマニア語とロシア語の音声を収集することができた。データ収集は現地で調達した20台のスマートフォンに上述のアプリをインストールして実施した。現在ピテシティ大学の研究者と協力してデータの解析を進めている。
その他、音声分析を実施するにあたり、例えば健常者とうつ病患者を区別し得る様々な音声特徴量が必要となる。本年度はそのようなパラメータ開発にも着手した。東京医科大学、防衛医科大学校、自衛隊、東京医科歯科大学などと共同でパーキンソン病、うつ病、認知症などの患者音声を収集した。これらの音声を用いて、新たな音声指標として、ピッチ検出率や、ハースト指数とゼロ交差率の関係性から導出した特徴量などを見出した。これらの成果はいくつかの国際会議で発表済みである。また特許も出願した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度の研究実施計画では、データ収集のためにスマートフォンアプリを作成し、ルーマニアで運用実験を行うところまでを予定していた。当初の予定は順調に達成された。実際の音声収集は平成29年度から実施する予定であったが、既に平成28年度においてルーマニア語と数例ではあるがロシア語音声も収集することができた。さらに新しい音声特徴量に関しても、いくつかの指標を提案でき、うつ病だけでなくパーキンソン病や認知症などもスクリーニングできる可能性が開けてきた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き多言語音声の収集を進めていくとともに、新たな音声指標の開発も進めていく。音声収集に関しては、需要が多いと思われる英語を重点的に集めていきたい。また未収集であるドイツ語、ハンガリー語音声に関しても、海外とのパイプを生かし引き続き調査を進めていきたい。音声指標の開発に関しては、うつ病と健常者を分離するだけでなく、うつ病の中でも大うつ病と双極性を分離できるような指標を開発したい。 アプリ開発に関しては、基本システムはどのような言語に対しても同じであるが、アンケートや読み上げの文言は、言語毎に異なる。この点も開発を進めていきたい。
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備考 |
http://www.univ.tokyo/
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